デンソーITラボの新技術
2024-12-28 08:50:14

デンソーITラボの異音検知技術、精度向上の新手法が発表される

デンソーITラボの異音検知技術、精度向上の新手法が発表される



株式会社デンソーITラボラトリの研究者、太刀岡勇気氏が発表した論文「Outlier Exposure with Efficient Division of Positive and Negative Examples for Anomalous Sound Detection」が、2024年8月にフランス・リヨンで行われる信号処理分野の国際会議「European Signal Processing Conference(EUSIPCO 2024)」に採択されました。この発表は、異音検知技術における新たな可能性を示唆しています。

研究の背景と課題



異常音検知(ASD)は、工場の製造機械の故障を早期に探知するために欠かせない技術です。しかしながら、異常が特定の音として現れる頻度が低く、異常の種類も多様であるため、学習用データを集めることが非常に難しいという課題があります。このため、教師なし学習を活用した異常音検知手法の開発が求められています。

従来の方法では、特定の機種に対する正常音と異常音の情報を元にモデルが学習されますが、新たな手法では、他の機種による正常音データも有効活用することで検知精度を向上させることを目指しています。今回の研究では、異常音の判定に必要なデータを効率的に収集し、学習負荷を軽減することが狙いです。

提案手法の詳細



本研究の核となるのは、異なる機種の正常音をどのように組み合わせて学習に利用するかという点です。異常音検知の精度を高めるために、特に対象機種に似た特徴を持つ他の機種の正常音を正例としてインプットする方法が採用されました。このアプローチにより、対象機種の異常音と他の正常音の違いを少しでも明確にし、学習に必要な計算量を大幅に削減できる可能性があります。

具体的には、対象機種に対してどの正常音を正例として加えるべきかを効率的に選定する方法を提案しました。これにより、従来のn x 2(n-1)通りの組み合わせを評価する必要がなくなり、異常音検知モデルの学習効率が劇的に向上します。

結果と今後の展開



研究成果の評価実験では、異なる機種での異常音検知の精度向上が確認されました。この新しい手法によって、設置環境による音のばらつきに強いモデルを短時間で構築できることが期待されています。また、自動車点検業界においても、日常使用時に発生する異音のリアルタイム検知が可能になることで、事前の保守を行えるようになるでしょう。これは、より安全で信頼性の高いモビリティ社会の実現に向けた大きな一歩となります。

株式会社デンソーITラボラトリについて



デンソーグループの一員であるデンソーITラボラトリは、約25名の研究者が集まり、先端基礎研究に特化した企業です。深層学習や信号処理などの先進技術を駆使して、課題解決のための技術的基盤を構築しています。今後も彼らの研究成果に期待が高まります。公式サイトはこちらからご覧いただけます:デンソーITラボラトリ


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会社情報

会社名
株式会社デンソーアイティーラボラトリ
住所
東京都港区新橋4丁目3-1新虎安田ビル13階
電話番号

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