EV時代に向けた一歩、蓄電池の未来を見据えて
2050年のカーボンニュートラルを目指す中、電気自動車(EV)の導入は急務です。しかし、EVに使用されるバッテリーの寿命はさまざまな要因で変動し、利用者としてはその使える期間を正確に予測するのが難しい状況です。特に運輸部門は日本全体のCO2排出量の約2割を占めており、脱炭素化を進める上でEVは重要な役割を果たすと考えられています。
このたび、大阪ガスとKRIは、EVバッテリーの劣化診断や寿命予測を行う新たな技術の実証実験を開始します。この取り組みは、EVの普及を促進するために必要不可欠な要素となり得るでしょう。
実証実験の具体的な概要
この実証実験は2024年10月から2025年9月までの一年間を予定しています。大阪ガスが主導し、KRIや大阪ガスオートサービス株式会社と協力して進めます。実証内容としては、実際に運用されているEV社用車から収集したデータを基に、劣化診断と寿命予測を行うモデルの構築が中心となります。
この新技術の最大の特徴は、特別な検査機器を必要とせず、日常の運転データや充電データをもとに診断かできる点です。また、バッテリーの劣化についても、時間の経過や使用環境による一次劣化と、突然の性能低下を引き起こす二次劣化を分析することが可能です。
EV使用者に寄り添った支援
実証実験が成功すれば、ユーザーは「現在のバッテリーの健康状態」と「残りの使用寿命」を目で見える形で把握できるようになります。さらに、バッテリーを過剰に負担をかける運用している場合には、適切な運用方法のアドバイスを受けることも可能になるでしょう。この技術により、EVが長く、安心して使えるようになり、普及を促進すると期待されています。
2025年度には、まずDaigasグループ内でこの技術を実用化し、その後リース会社や中古車販売店にも展開する予定です。そして、EVのみにとどまらず再生可能エネルギーが求められる分野でも幅広く活用される見込みです。
Daigasグループの取り組みと未来
Daigasグループは「カーボンニュートラルビジョン」を掲げ、革新的な技術やサービスの開発に取り組んでいます。気候変動などのグローバルな課題に正面から向き合い、その解決策を実現することで、持続可能な社会の実現を目指しています。この蓄電池診断技術への取り組みも、その一環として位置づけられています。また、大阪ガスは、1993年に設立されたKRIという研究機関と強力に連携。約370社の研究開発支援の実績を生かして、EVバッテリーの信頼性を高めるための取り組みを進めています。
最後に、次世代のエネルギー社会の実現に向け、我々はEVの普及に力を入れ、カーボンニュートラルな未来を共に築いていくことが求められています。そのためにも、技術革新を通じて可能性を広げる取り組みは、これからますます重要になるでしょう。