日本の卵巣がん治療に新たな希望
2023年10月30日、特定非営利活動法人婦人科悪性腫瘍研究機構(JGOG)はLGSOC(再発低悪性度漿液性卵巣がん)患者を対象とした第II相臨床試験RAMP201Jが開始されたことを発表しました。この試験では、経口のRAF/MEK阻害薬avutometinibと経口のFAK阻害薬defactinibを併用することで、安全性と有効性を評価します。日本国内では、診断されるLGSOC患者が年間に300人以上存在するものの、承認された治療法がない状況が続いていました。
LGSOCとは
再発低悪性度漿液性卵巣がんは稀なタイプの卵巣がんであり、特に若い女性に多く見られます。診断のピークは20〜30歳および50〜60歳で、患者数は日本全体で年間約300〜350人に達しています。LGSOCは有害な影響を流さずに進行することもあり、最終的には致命的な結果をもたらすこともあります。LGSOCは高悪性度漿液性卵巣がん(HGSOC)と異なるアプローチで治療されるべき特性を持っています。
RAMP201J試験の目的
RAMP201Jは、LGSOC患者に対し、これまで有効な治療選択肢がない中で新しい治療法の可能性を探ります。JGOGの理事長であり、東京慈恵会医科大学産婦人科の岡本氏は、「日本においてLGSOC患者に対して有効な治療の選択肢を提供することが大きな課題です」と語ります。このような背景の中、RAMP201J試験の開始は非常に期待されています。
試験の進行状況
本臨床試験は非盲検で、特に日本人を対象にして行われます。試験には東京慈恵会医科大学附属病院、三重大学医学部附属病院、東北大学病院、久留米大学病院、愛知県がんセンターの5施設にて実施されます。また、Verastem Oncology社がスポンサーとなっており、国際共同の第III相試験にも参加することで、日本国内の臨床試験施設での結果が今後の治療に貢献すると期待されています。
患者への影響
John Hayslip氏は、RAMP201Jの結果が日本の患者に新しい治療法を提供する手段となることを願っています。再発低悪性度漿液性卵巣がんに特化した治療法を見つけられずに苦しむ患者たちに対して、RAMP201Jは大きな希望となるべきです。
JGOGの役割
JGOGは、全国の主要大学やがん拠点病院と連携し、婦人科悪性腫瘍患者に対する最新かつ最適な診断・治療法の確立を目指しています。本試験の開始により、さらなる研究が進みLGSOC患者に向けた最適な治療法の確立が期待されます。
現在、LGSOC患者の治療選択肢において、再発時の対応が注目されています。新しい医療技術の導入と、研究機関・企業の協力によって、患者が望む明るい未来が訪れることを願うばかりです。