農業の未来を切り開く「アイガモロボ2」が登場
NEWGREEN社が開発・製造した「アイガモロボ」は、2023年に井関農機から発売され、有機農業の現場で大いに活躍を見せています。このロボットは、2024年9月に開催された第11回ロボット大賞で「農林水産大臣賞」を受賞し、政策的な観点からも注目されています。2025年3月には、第2世代モデル「アイガモロボ2」が税込27.5万円で販売が開始されます。
機能性の大幅向上
初代モデルは全国での実証により、除草工数を58%削減し、収量を10%向上させましたが、稼働条件の制約が課題としてありました。しかし、新たにフルモデルチェンジを経た「アイガモロボ2」は、これらの問題を解決するべく機能性がさらに向上しています。
- - 走破性: 新採用のブラシ型パドルにより、地形対応力が大幅に向上。
- - 自動航行: 自動で畔を認識し、複雑な航行ルート設定が不要に。
- - 軽量化: 従来モデルより64%の軽量化を達成し、約6kgという軽さで誰でも持ち運び可能。
- - 強風対策: ブラシ型パドルがアンカーの役割を果たすことで、強風への適応力が向上。
- - 適応面積拡大: 航行能力の向上により、10aから1.5haまで対応。
- - 稼働可能な稲の高さ: イネが50cm程度でも稼働が可能になりました。
これにより、農業者はより多様な環境で「アイガモロボ2」を活用できるようになります。
価格の低下と導入方法の多様化
希望小売価格が27.5万円(税込)に設定されており、これは従来モデルから半減した価格です。この低価格化は、中山間地における採算性を高め、特別栽培などにおける除草剤使用の回数削減にも貢献すると期待されています。
さらに、新たに全農での取り扱いが決定しており、購入の選択肢がさらに広がりました。また、複数台の導入を希望する方に向けて、リース利用の調整も進めているため、初期投資の負担を軽減しやすくなっています。
アイガモロボの新たな機能
「アイガモロボ2」は、農水省と連携し、ジャンボタニシの食害抑制やメタンガス発生量の低減に関する研究も進めています。
ジャンボタニシの食害抑制
アイガモロボは、ジャンボタニシを払い落とす効果や、水中波動を発生させることで、食害を抑制するしくみが明らかになりつつあります。さらに、エアレーション効果により増えた鉄細菌が二価鉄を増加させ、食害を抑える手助けもしています。
メタンガスの低減
これまでの稼働データから、アイガモロボを利用した水田ではメタンガスの発生量が大幅に減少していることが確認されています。エアレーション効果によって嫌気性のメタン生成菌が減少するため、環境にも優しい取り組みと言えます。
結論
「アイガモロボ2」は、農業の現場に革新をもたらす存在として、今後大いに期待されます。新機能の拡充と共に、環境問題への配慮もされたこのロボットは、持続可能な農業を支える重要なパートナーとなるでしょう。農業者たちがこの低価格で高機能なロボットをどう活用していくのか、その結果に目が離せません。