東京ビッグサイトで発表された中山間地域向けIoT「里山通信」
2018年5月30日から6月1日まで、東京ビッグサイトで開催された防災産業展において、地域の防災や防犯をサポートする新たなIoTプラットフォーム「里山通信」が初めてお披露目されました。このプラットフォームは特に中山間地域に焦点を当てており、鳥獣被害対策や見守りサービスを提供します。
鳥獣被害対策サービス「オリワナシステム」の実績
「里山通信」の中核をなすのは、鳥獣被害対策を目的とした「オリワナシステム」です。このシステムは、2016年秋から全国16の地域自治体で実証実験を重ねており、実際に野生動物の捕獲を通知する役割を果たしています。使用されている通信技術はLPWA(Low Power Wide Area)で、特に険しい中山間地帯での長距離通信に特化した「LP-WAVE」という独自の無線規格を採用しています。
LP-WAVEの最大の強みは、250mWの電波出力によって広範囲にわたる通信を可能にすることです。これにより、携帯電話の電波が届かない山間部などの地域でも安定した通信が確保されます。他社の通信技術が数百メートルから数キロメートルの範囲であるのに対し、LP-WAVEは最大200kmもの通信距離を実現しています。
箱根町での実証実験
導入前の通信試験では、神奈川県箱根町において親機1台と中継機3台を設置しただけで、町全域で通信が可能であることが確認されました。実際に、30カ所以上の猟場での遠隔監視も実現し、その効果が証明されたことから、今後の普及が期待されています。
「里山通信」の利用シーン
「里山通信」プラットフォームは、以下のような多くの利用シーンが考えられています。
- - 崖崩れの早期警戒: 崖の傾斜や土中水分のモニタリング。地震の影響で発生する崖崩れを事前に検知することができます。
- - 火山活動の監視: 火口の遠隔監視や異常があった際の迅速な通報。
- - 浸水警戒センサー: 上流に設置した水位警戒センサーによる早期警戒システム。
- - 入山者や林業関係者のサポート: 位置情報のモニタリングおよびSOS発信機能が搭載されています。
- - 害獣の監視: 侵入通知や監視カメラによる特定の機能。
- - 猟犬の位置情報モニタリング: 迷子犬の捜索アラームも遠隔操作可能です。
企業の展望と参加呼びかけ
フォレストシーは、自社開発の通信網やセンシング端末を活用し、地方創生にも貢献する理念のもと、「里山通信」の導入を進めています。今後3年以内に、IoTプラットフォームの導入を100社・団体に拡大する計画を立てています。
2018防災産業展の出展情報
「里山通信」は、東京ビッグサイトのB-01ブースに出展しており、関心のある方々の訪問を歓迎しています。地方の通信インフラが整備されていない地域でも、「里山通信」を導入することで安全な生活基盤を築くことが期待されています。ぜひこの機会に最新の技術とその効果を体感してみてください。