OKIが放熱技術に革命をもたらす
OKIグループの中核をなすプリント配線板(PCB)事業会社、OKIサーキットテクノロジーが新たに開発した「凸型銅コイン埋め込み高多層PCB技術」が注目を集めています。この新技術は、従来の55倍に及ぶ放熱性能を実現するもので、小型電子機器や特殊な環境での使用に最適です。
凸型銅コインの進化
この新しい放熱技術は、PCBに円形と矩形の2タイプの凸型銅コインを取り入れたもので、電子部品の冷却に関する課題を解決します。特に、装置が小型化され、冷却ファンやヒートシンクが取り付けられない状況下において、PCBが発生する熱を効率的に外部に伝える必要があります。この技術は、空冷技術が使用できない宇宙空間などでも有効です。
新技術の背景と重要性
半導体の技術進化に伴い、データ処理の高速化と大容量化が進む中、電子部品が発する熱の管理が大きな課題となっています。特に装置のサイズが縮小されると、放熱のための手段が限られるため、効率的な熱伝導が求められました。OKIサーキットテクノロジーは2015年に、熱導電性の高い銅コインをPCBのスルーホールに埋め込み、高い放熱を可能にする技術を確立しました。それに続き、凸型銅コインを用いた新たな技術を開発したのです。
凸型銅コインの特徴
今般開発された凸型銅コインは、発熱する電子部品との接合面積を拡大することによって熱伝導の効率を向上させています。また、電子部品の形状によって適切な放熱構造にカスタマイズ可能で、特に矩形の電子部品には、その形状に応じて放熱面を大きくしています。このようにして、さまざまな環境での使用を見越した設計がされており、PCBに組み込まれた電子部品が発生させる熱を外部に効果的に逃がします。
OKIの航空宇宙市場への取り組み
OKIは航空宇宙市場に注力しており、JAXA(宇宙航空研究開発機構)からの認定を取得したPCBをはじめ、各種基幹部品の設計や製造を行っています。単に製品を提供するだけでなく、設計シミュレーションや信頼性評価、故障解析といった先進的な製造サービスを展開しています。これにより、宇宙品質の基準を満たす製品を提供し続けることを目指しています。
今後の展望
新たに開発された凸型銅コイン技術は、今後ますます多様な市場への適用が期待されます。特に航空宇宙市場や、冷却手段が制限されるさまざまな電子機器向けへの導入が進められ、OKIの技術革新はますます加速していくでしょう。
このままでは終わらないOKIの挑戦。より安全で効率的な電子機器用途のために、次世代の放熱技術の実用化に向けた開発を進めています。