アゲハ幼虫の放浪行動
2026-09-09 10:11:11

アゲハ幼虫の長距離移動が寄生リスクを低減させる新たな発見

アゲハ幼虫の放浪が寄生バチからの逃避に有効



岐阜大学応用生物科学部の岡本朋子准教授と土田浩治招へい教員の研究チームは、ナミアゲハ幼虫が蛹になる前に長距離を移動する行動が寄生リスクを低下させる可能性を示した。この研究結果は、2026年に国際誌『Journal of Insect Behavior』で発表され、昆虫の行動戦略に新たな視点を提供している。

研究の背景



昆虫は天敵から身を守る行動として、捕食者や寄生者に見つからないように工夫する必要がある。特に蛹化する際、成虫や幼虫のように逃げられないため、安全な場所を選ぶことが重要となる。しかし、幼虫は成長の過程で寄主植物に留まるため、食が終わった後にどのように放浪するのかが注目されてきた。

研究手法と結果



本研究では、ナミアゲハの終齢幼虫が蛹化前に約20メートル以上移動することが知られているが、寄生バチであるアオムシコバチに寄生されるリスクを低減するためにこの行動がどのように機能するのかを検証した。

幼虫の移動距離



野外での実験において、幼虫は寄主から5メートル以上離れた位置に移動することで、アオムシコバチによる寄生を避けることができることが示された。さらに、匂いを使用した実験では、幼虫や食痕の匂いにはよく反応せず、蛹に近い前蛹の匂いに対してのみ顕著な誘引が確認された。このことから、幼虫が蛹化前に寄主植物から離れることで、寄生バチからの攻撃を回避している可能性が浮かぶ。

生存戦略としての放浪行動



放浪行動に対する理解は、昆虫の生存や繁殖において重要な要素であり、本研究はこの観点を新たに評価するものとなった。特に、アゲハ幼虫の移動距離や放浪行動が自然環境においてどのように寄生リスクを低減させるのかを調べることで、昆虫の進化や適応の仕組みが進展することが期待される。

今後の展望



研究グループは今後、前蛹から放出される化合物を特定し、寄生バチの反応や行動を解明していく方針である。これにより、ナミアゲハの放浪行動が持つ適応的意義が明らかになることが期待される。チョウ類の生態学、特に寄生者との関係に関する知見が深まることで、昆虫生態学の進展にも寄与するであろう。

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研究者プロフィール


岡本准教授と土田教員は、岐阜大学応用生物科学部にて昆虫の相互作用や生態学的問い合わせを行う研究者であり、この分野において数多くの成果を上げている。特に生物間の相互作用における昆虫の行動戦略に注目している。


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