インドネシアにおけるメタン排出量削減の取り組み
2024年8月21日にジャカルタで行われたアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)閣僚会合のサイドイベントで、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)とインドネシア国営石油会社のプルタミナが手を組んで、メタン排出量の測定と定量化に関する共同研究契約(JSA)を締結しました。この取り組みは、アジア地域でのカーボンニュートラルを推進するための重要なステップです。
メタン排出の重要性
メタンは温室効果ガスの一種であり、その影響力は二酸化炭素の約28倍に上ります。そのため、天然ガスの生産施設からのメタン漏洩を抑えることは、LNG(液化天然ガス)バリューチェーンの低炭素化にとって非常に重要です。JOGMECはすでに2023年12月にインドネシアの天然ガス生産施設におけるメタン排出量の測定に関する覚書(MOU)を締結しています。
JSAの目的と内容
今回締結されたJSAは、JOGMEC、プルタミナ、そしてその関係企業であるPT Pertamina EP(PEP)、JOB Pertamina - Medco E&P Tomori Sulawesi(JOB Tomori)の4者による協力関係を基に、メタン排出量の削減を目指すプロジェクトを進めるものです。具体的には、スラウェシ州のドンギ・マーティンドックガス田やJOBトモリガス田におけるメタン排出量の測定や管理手法の策定を行います。
プロジェクトの意義
この取り組みは、日本政府が主導するアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想の一環として位置づけられております。AZECは、アジア地域における国々の協力を促進し、2024年に設立されるアジア・ゼロエミッションセンターを介して政策協調も進めていく方針です。このように、重要な国際的な枠組みの中で、インドネシアとの協力が具体化しています。
CLEANと連携した取り組み
さらに、JOGMECは「ネットゼロに向けたLNGからのメタン排出削減のための連携(CLEAN)」というプロジェクトを通じて、他国との連携を強化しています。本プロジェクトは、このCLEANの理念に基づいて、インドネシアにおけるカーボンニュートラルの実現に向けた具体的なアプローチを示すものでもあります。
期待される成果
今後、この4者は、天然ガス上流事業におけるメタン排出管理の計画策定や、炭素集約度の算定を進めることで、具体的な対策の実装に取り組んでいきます。これにより、インドネシアの環境政策や国際的な温暖化対策に大きく貢献することが期待されています。
このような共同研究契約の締結は、単なる開始点に過ぎません。メタン排出削減に向けた最前線での挑戦が、今後も続いていくことでしょう。