OECDグローバルカンファレンスで日本の教育課題が浮き彫りに
2024年10月24日、チリ・サンティアゴで開催されたOECDとチリ教育庁共催のグローバルカンファレンス「新世代のエンパワーメント社会性と情動のスキルを世界で育むグローバルカンファレンス」に、社会性と情動の学習(SEL)を推進する株式会社rokuyou代表取締役の下向依梨氏が登壇しました。
本カンファレンスは、OECDが実施する国際調査「社会性と情動のスキル調査(SSES)」の結果発表を目的として開催されました。SSESは、10歳と15歳の生徒の社会性と情動スキルの発達を促進する要因を評価するもので、世界16の国と地域が参加しています。
下向氏は、パネルディスカッションのパネリストとして、世界各国の専門家や政策担当者とともに、社会性と情動スキルを促進するための学校や家庭における政策や実践について活発な議論を展開しました。
日本の教育現場の実態と課題
カンファレンスで発表されたSSESの結果は、日本の教育現場の現状を浮き彫りにしました。日本は認知スキルは高いものの、非認知スキル、特に社会性と情動スキルは低いという結果でした。
OECD教育・スキル局長のアンドレアス・シュライヒャー氏によると、日本の教員の60%以上が社会性と情動の教育に関する研修を受けていないことが明らかになり、また、「社会性と情動のスキルは学校でも教えることができる」という共通認識も低いことが指摘されました。
さらに、学校への愛着やポジティブな感覚を持つ生徒ほど、社会性と情動スキルが高い傾向が見られる一方、学校にポジティブな感覚を抱いていない生徒はスキルが低いという結果も示されました。
rokuyouの取り組みと今後の展望
下向氏は、日本の教育における課題として、SELの概念が日本語で適切に表現されず、その理解が進んでいない点を指摘しました。また、PBL(Project Based Learning)の推進はされているものの、教員から生徒へのフィードバックの機会や、教員の異動による継続性の不足、地域社会との連携の弱さなども課題として挙げられました。
rokuyouは、沖縄県をフィールドに、地域企業を巻き込んだPBLの実施や資金面での協力体制構築に挑戦しています。下向氏は、SELを教育現場だけでなく、経済界など多様な分野へ広げていく必要性を強調し、今回の調査結果を活かし、多様な関係者とのコミュニケーションを図りながら、日本の教育改革に貢献していくことを表明しました。
SELの重要性と今後の期待
今回のカンファレンスで明らかになったのは、社会性と情動スキルが、学力向上だけでなく、個人の幸福や社会貢献にも大きな影響を与えるという点です。
rokuyouのような、SELを推進する企業の活動は、日本の教育改革において重要な役割を果たすと考えられます。今後のrokuyouの活動、そして日本の教育の進化に期待が集まります。
報告会開催のお知らせ
rokuyouでは、OECDグローバルカンファレンスの報告会を11月25日(月)20:00-21:00にオンラインで開催します。参加費は無料です。
詳細については、rokuyouのウェブサイトをご覧ください。