岐阜県高山市の高山駅自由通路に新たに設置されたストリートピアノ「飛騨六花」は、地域の伝統と文化を体現した美しいアートピースです。このピアノは、令和6年10月14日から11月24日まで開催される『清流の国ぎふ』文化祭2024の応援事業として登場します。この期間中、高山を訪れる多くの地元民や観光客がこのストリートピアノの前を通り、新たな音楽体験が生まれることが期待されています。
この「飛騨六花」という名前は、飛騨地方の澄んだ冬を象徴する季語から名付けられました。雪の結晶が六角形であることによって、六花という異称が生まれるからです。音楽とともに情緒を感じられるこのピアノには、飛騨高山の伝統工芸が織り込まれており、訪れる人々をその美しさで惹きつけます。
ピアノの装飾は、渋草焼の職人である松山功次郎さんによって施され、彼が考案した「雪花唐草紋」が描かれています。また、漆塗り職人の荒川斐さんによる螺鈿装飾が施され、これによってピアノは繊細かつ優雅な仕上がりとなっています。さらに鍵盤部分には、春慶塗の黒鍵「春鍵」が取り付けられ、飛騨産のブナ材を使用して浦谷家具製作所の浦谷大司さんが手作業で作り上げた36本の黒鍵が並びます。これらは阿多野一夫さんの熟練の技によって春慶塗が施され、ここでもまた地域の技術が生かされています。
「LOVE ME!」ピアノプロジェクトが主催するこの取り組みでは、音楽と伝統工芸を融合させた地域振興を目指しています。このプロジェクトは市民による有志団体で、訪れる人々が自由にストリートピアノを演奏し、地域の文化を楽しむことができる場を提供します。国内最大級となる文化祭の開催に併せて、新たな音楽の拠点となることが期待されています。
ピアノの利用は無料で、設置期間中には予約枠が用意されています。ピアノ経験者は午前10時から12時の時間帯に予約可能で、フリータイムは午後1時から3時まで、週末は午後4時まで利用可能となっています。また、演奏する際には駅や通路を利用する他の方々への配慮を忘れないようお願いされています。一般の訪問者の妨げにならないよう、演奏の際は係員の指示に従い、立ち止まる場所にも注意が必要です。
このピアノは単なる楽器ではなく、音楽を通じた様々な出会いや新しい発想が生まれる場として期待されています。高山市の支援のもと、地域の文化と技術を紹介する新たな象徴となるこのストリートピアノを、一度体験してみてはいかがでしょうか?高山駅を訪れた際にはぜひ「飛騨六花」に触れ、その魅力を感じてみてください。