インドでの曳船事業拡大を目指した覚書の締結
2023年10月27日、株式会社商船三井はインド国営海運会社であるShipping Corporation Of India Ltd.(SCI)との間で、曳船事業に関する覚書(MOU)を取り交わしました。この重要な契約は、ムンバイで開催中の国際海事イベント「India Maritime Week 2025」での署名式にて正式に結ばれました。
曳船事業の重要性と背景
インドは現在急速な経済成長を遂げています。この成長に伴い、コンテナ貨物の取扱量は年間6~8%の増加、エネルギー貨物も年間3~5%の増加が期待されています。これは、インドの主要港における船舶の寄港数が今後大きく増加することを意味しています。
船舶が安全に入出港し、また効率的に離着桟を行うためには曳船サービスが極めて重要です。さらに、船舶の安定した入出港をサポートするために、曳船の供給も不可欠な要素とされています。
現在、インド政府は「Green Tug Transition Program」を推進しており、2040年までに主要港で使用される曳船を全て環境に配慮した「グリーンタグ」に移行する計画が進められています。この動きは、曳船事業にとって新たな転換期の到来を示しており、環境に優しい曳船の導入が求められています。
商船三井の取り組み
商船三井は、これまで日本、香港、ベトナムといった地域で曳船事業を展開し、船舶の安全な入出港や離着桟を支援するサービスを提供してきました。今後は、SCIが持つインド国内での強固なネットワークと、商船三井が培ってきた安全運航ノウハウや代替燃料船に関する技術を生かして、インドにおける曳船事業の拡大を目指します。
特に、港湾での温室効果ガス(GHG)排出削減に貢献することを目指し、環境に優しい曳船サービスの提供を進めていく計画です。これにより、インドの港湾運営の持続可能性を高めることを期待しています。
総括
インドにおける曳船事業の重要性は今後ますます増していくことでしょう。既に進行中の経済発展とそれに伴う港湾の混雑を効果的に解消するためには、高品質な曳船サービスが必要不可欠です。商船三井とSCIの協業がこれを実現し、新たなビジネスチャンスを生み出すことに期待が寄せられています。