壱岐市の石田中学校と安八町が生んだ国際平和教育の新たな形
日本の学校教育の新たな試みが、海外の教育現場で注目を集めています。特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトが推進する「世界とつながる学び」において、長崎県壱岐市立石田中学校と岐阜県安八町で制作された教材がルワンダをはじめとする海外の教育現場で活躍しています。これまでの教育とは異なり、自分たちの「学び」を他国の子どもたちと共有しているのです。
壱岐市の英語カルタが生む新たな学び
2026年3月、壱岐市立石田中学校では、中学生たちが1年かけて学んだ英単語をもとに「英語カルタ」を制作しました。これは、通常の暗記学習ではなく、教材を通じて楽しく友達と学ぶ遊びとしての英語教育のカタチです。生徒たちは、自分の思い入れのある単語を選び、それをカード化し、神経衰弱の要領で遊ぶことで、効果的に英単語を学ぶ手法を実践しました。
こうして作成された英語カルタは、なかよし学園によってルワンダへ運ばれ、英語初学者向けの授業で使われました。ルワンダの子どもたちは、カルタを通じて遊びながら英単語を学び、同時に友達との交流を楽しむことで、言語学習の楽しさを体感しました。これにより、教科書による堅苦しい勉強から脱却し、「探す」「選ぶ」「声に出す」能動的な学習体験を育むことに成功したのです。
安八町のTOMODACHIうちわがつなぐ友情
一方、岐阜県安八町の「TOMODACHIうちわ」は、普段の授業に参加している子どもたちだけでなく、不登校の子どもたちも含めて、自由に参加できるプロジェクトとして立ち上げられました。このうちわ制作もまた、世界とつながる経験を子どもたちに提供することを目指しました。
安八町教育委員会の「すべての子どもに世界とつながる経験を」という願いを受け、なかよし学園はこの参加型のプロジェクトを実施。町の約100人の子どもたちは、「世界の友達に届ける教材を作る」という意思のもとに、100枚のうちわを制作しました。ここでは、学校に通う者も通えない者も共に、同じ目的に向かって活動し、異なる背景や状況を超えた友情とつながりが生まれました。
学び合いが築く新しい未来
なかよし学園の中村雄一代表は、「英語カルタやTOMODACHIうちわを通じて、使用する状況が異なっても、学び合うことの大切さを実感しています」と語ります。彼のビジョンでは、支援する側と支援される側を固定するのではなく、互いに学び合う関係を育むことが重要です。この考えは、国境を越えて教育支援が進む現代において特に重要な視点です。
売れた教材を生めば、ルワンダの子どもたちがどのような影響を受けたのかを日本に還元することで、次の学びの促進にもつながります。また、安八町ではうちわを使用しいた授業が、どのように他国の子どもたちに役立つのかを常に考えています。
教材を通じて国際的な絆を育む
完成した「TOMODACHIうちわ」は、ネパールやカンボジアの教育現場でも活用され、ただのプレゼントとして手渡されるのではなく、科学的な教材としても機能します。例えば、うちわを使用して、力や動力についての理解を深める授業が行われ、身近な素材を通じて子どもたちの好奇心を喚起しました。このように、「物が動く理由」や「機能が生まれる仕組み」を体験的に学ぶことができるのです。
未来を見据えた取り組み
2026年9月以降、なかよし学園は安八町内の学校を訪問し、海外での活用成果を報告する予定です。ただ単に教材を届けた終わりではなく、その成果を参加した子どもたちに還し、さらなる学びの糧にする姿勢が、持続可能な教育支援を実現しています。
日本の教室から世界の教室へと、つながりを持つことは、子どもたちに「今の自分にもできることがある」と気づかせる重要なプロセスです。壱岐市と安八町の取り組みが、さらなる国際的な絆と平和教育の重要性を再認識させてくれるでしょう。