米ぬか由来のライステロールエステルがもたらす食品への新たな可能性とは
築野グループは、2024年9月に開催される日本味と匂学会第58回大会で、米ぬかから得たライステロールエステルの食品に対する機能性について2つの発表を行います。この大会は、岡山大学津島キャンパスで3日間開催され、さまざまな分野から味と匂に関する研究成果が集まります。
ライステロールエステルとは?
ライステロールエステルは、植物ステロールとトリテルペンアルコールの脂肪酸エステルで、食品に添加することでさまざまな効果を発揮します。特に、塩味を増強する効果や香気成分の保持が注目されており、築野グループはその学術的な検証を行っています。
塩味増強効果の実証
発表される1つ目の演題は「ライステロールエステルの塩味増強効果」に関するもので、官能評価試験を通じて、ライステロールエステルの添加により食品の塩味が顕著に増加することが確認されました。具体的には、食塩0.9%の添加で食塩1.0%と同程度の塩味強度に感じられることが実証され、それにより約10%の塩味増強が見込まれています。
さらに、乳化サンプルにおいてライステロールエステルを添加すると、油滴径が減少することが分かりました。これは、乳化食品の油滴が小さくなり、塩が味細胞に効率よく接触する可能性を示唆しています。これにより、初めての試みとして、ライステロールエステルの新しい応用可能性が開かれることになりそうです。
香気揮発成分の保持効果
2つ目の演題では、「ライステロールエステルによる香気揮発成分の保持効果」が取り上げられます。特に、チューブ薬味に1%のライステロールエステルを加えることで、ニンニクやワサビの香味が増強されるという点が評価されました。これにより、食品の風味の向上が期待されています。
また、山椒入りの香味油にライステロールエステルを添加した実験では、リモネンという成分の保持が確認され、0.1%の添加で1.3倍、1%で1.5倍の残存量を示しました。これは、食品の香気を強化する可能性も秘めており、消費者にとって魅力的な価値提案となります。
築野グループの事業概要
築野グループは、米ぬかを高度に有効利用することを目指し「こめ油製造事業」「ファインケミカル事業」「オレオケミカル事業」の3つの主要なビジネスを展開しています。
設立は昭和22年であり、代表取締役社長の築野富美がその指揮を執っています。公式サイトやオンラインショップを通じて、製品の販売も行っており、消費者へのアプローチを強化しています。
今後、ライステロールエステルの研究がもたらす新しい食品の可能性に期待がかかります。築野グループの発表を通じて、それがどのように私たちの食生活に影響を与えるのか、一層の注目が集まります。