トランプ関税の概要
2025年度に向けての米国のトランプ大統領による相互関税が発表され、特に日本とEU、さらには中国など57カ国・地域に直面する課題が顕在化しています。日本については、ベースライン関税が10%で、上乗せ関税率を合わせた相互関税率が実に24%にのぼることが予測されています。これにより、日本側でも多大な影響を受けることが懸念されています。
日米交渉とその結果
日米間の交渉は続き、7月23日にいくつかの合意が成立しましたが、大統領令の内容に誤りがあったため、25%の関税が適用されたまま放置されています。これに関しては、米国側も早急な修正が求められており、これによって最終的に実施される関税率は未定ですが、現時点でも万全な状況ではありません。
経済予測のモデルとその結果
帝国データバンクは、2025年度のトランプ関税が日本経済に与える影響をTDBマクロ経済予測モデルを用いて試算しました。その結果、実質GDP成長率は、トランプ関税がなければ得られたであろう成長と比較して0.4ポイントの低下が見込まれています。同時に、輸出の伸びも1.3ポイント下押しされるとの見方が強まっています。特に、自動車や同部品に関する関税が大きな影響を与えていることが浮き彫りになっています。
輸出と企業投資への影響
トランプ関税が発動されることで、自動車関連製品の構成比は34.1%に達し、トリガーとしてはかなりの重みを持ちます。このため、企業は設備投資を慎重に行わざるを得ず、民間企業の設備投資の伸び率も0.2ポイント低下する見込みです。特に、米国内での生産が増加する一方で、日本国内における投資が抑制される可能性が高まりました。
企業経常利益と個人消費の低下
輸出や設備投資の伸び悩みは、経常利益にも悪影響を及ぼすと予測され、1.7ポイントの低下が予想されます。これにより、5年ぶりに企業の利益が減少する危険性も孕んでいます。加えて、個人消費においても影響が及ぶことから、民間最終消費支出の伸び率は0.2ポイント低下する見込みです。日本経済において個人消費はGDPの5割強を占めているため、この動向は非常に憂慮すべき事項です。
倒産件数の増加とその背景
さらに、企業倒産件数は2024年度に1万件を超える見込みが立てられています。これを受けて2025年度の倒産件数は264件の上振れが見込まれ、中小企業にとっては特に影響が大きいでしょう。この背景には、経済の先行き不透明感が横たわっています。
まとめ
トランプ関税を巡る日米交渉は一応の合意に達していますが、実施内容や時期に関しては依然として不透明です。これは企業の経営判断に大きな影響を与え、中小企業にとっても直接的でない影響が出る可能性があります。政府による効果的な対応策が求められる中、企業としても自発的に情報収集し、柔軟に対応することが求められています。