関西大学と帝人フロンティアが共同で開発した「圧電組紐」技術を活用した新しい形の応援が、サッカーの試合において実施される。この技術により、観客が振り回す応援タオルの動きをセンサーで計測・解析することが可能となり、具体的な応援力を数値化し、視覚的に示すイベントが10月20日(日)に長崎スタジアムシティのハピネスアリーナで開催される。
今回の試験イベントでは、試合の観客が100本のタオルを使用して、その動きの強さをリアルタイムで解析、スクリーンにアニメーションとして表示する。観客がタオルを振り回す際の速さや力強さの変化を視覚化することで、スタジアム全体の一体感を創出し、新たな観戦体験を提供することを目的としている。
「圧電組紐」とは、ポリ乳酸を用いた高分子圧電体を組紐状に構築した柔軟性のあるセンサーで、これまでの硬いセンサーとは異なり、振動や引っ張りなどの動きを敏感に捉えることができる。この特性により、観客が使用するタオルや衣類に縫い込むことが可能で、動きのデータを高度に収集することができる。
実施される試験イベントは、V・ファーレン長崎対ブラウブリッツ秋田戦で行われ、参加者は得点時にタオルを振ることでそのデータが収集される。さらに、専用アプリを通じて個々のタオルの動きも計測し、最も活発に応援した参加者をランキング形式で発表するなど、観客の盛り上がりを後押しする仕組みも設けられている。このような新たな試みは、サッカーの応援文化を進化させる一助となることが期待されている。
また、関西大学と帝人フロンティアは、今回の実証イベントを通じて得られたデータをもとに、さらなる技術開発を進め、応援パワーを音や照明、ビジュアルと連動させることで臨場感あふれる演出を行うことを目指す。こうした取り組みは、ただの観戦にとどまらず、観客が一緒に体験し、楽しむ新しいスタイルを創造することにつながるだろう。
長崎でのこのイベントは、単なる試合の観戦を超え、観客同士が一体感を持てる新しい体験を提供する場となることが予想されている。期待されるその効果として、サッカー人気のさらなる高まりにも寄与することが期待されている。今後の技術発展に伴って、このような観戦スタイルが他のスポーツにも広がっていくのではないだろうか。関西大学と帝人フロンティアの取り組みが、観客の熱気を可視化することでスポーツ観戦の未来を切り開く可能性を秘めている。
この革新的な試みがどのような結果を生むか、今後の発展に注目が集まるところだ。