福岡発!オフィスが生まれ変わる「育てる緑」プロジェクト
はじめに
福岡市を拠点とする株式会社welzoと、空間のデータ解析を手掛ける株式会社ジオクリエイツが共同で行った研究が注目を集めています。彼らは「育てる緑」をテーマにした実証実験を行い、オフィス環境における植物の導入がどれほど社員のコミュニケーションや生産性に影響を与えるかを検証しました。
実施の背景
東京都港区に本社を置くジオクリエイツは、空間における人の感情や行動を定量化する技術を駆使しており、一方福岡に本社を持つwelzoは農業や園芸のイノベーションを追求する企業です。この二社は、福岡地域戦略推進協議会(FDC)の産業創造部会の一環として、具体的な施策について共同研究を行うことになりました。
実験の内容
福岡の西部ガスホールディングスのオフィスを舞台に、実験は行われました。目的は、社内でのコミュニケーションが活性化することを目指して、特定の空間に適した植物を配置し、社員自らお世話をするというものです。具体的には、以下のような仮説が立てられました。
- - 空間ごとに適切な植物を配置することで、自然とコミュニケーションが生まれる。
- - 会議室のテーブルに植物を置くことで、話題が生まれ、会話の質が向上する。
- - 特に、収穫できる野菜を育てることで、部署間の交流を推進する。
検証方法
実験には、西部ガスに勤務する約30名の社員が参加しました。実施された期間は、植物がある空間と、植物の世話を行う空間でそれぞれ1か月ずつの比較を行いました。内容としては、アンケートや生体データ計測を用いて、社内のコミュニケーションの質や量、精神的なリラックス度などが評価されました。
実験結果
実験の結果、いくつかの重要な発見がありました。特に目を引いたのは、植物のお世話をした後の社員からのポジティブな反応です。
- - 緑のお世話をした社員のうち、オフィスの雰囲気が良いと感じた人が25ポイント増加しました。
- - 会話の量が増えたと感じた社員も22ポイントの上昇。
- - 会議前に植物の変化について話すことで、会話の質も改善されました。
生体データを分析したところ、集中度や活動量、リラックス度が向上したことも確認されています。
社員の声
実験に参加した西部ガスの人財戦略部の今長谷大助氏は、「部署内のコミュニケーションが見える形で変わっていくのが実感できました」と話します。また、事業開発部の宮本晃氏は、「データとして社員の集中度が向上したことが示され、実感としても強く感じています。今後もこうした施策を続け、知的生産性を高めていきたい」との見解を示しました。
今後の展望
この実験の成功を受けて、welzoとジオクリエイツはさらなる発展を目指しています。今後も植物や空間解析技術を活かし、様々な空間でのWell-being向上を追求していく予定です。福岡地域戦略推進協議会との連携をもとに、より多くの企業と共同で地域の活性化にも貢献することを目指しています。
まとめ
今回の実証実験から、オフィス環境における「育てる緑」の効果が非常に高いことが明らかとなりました。これを通じて、企業の生産性向上や社員の心身の健康に寄与する取り組みが今後も進められることでしょう。