尿中マイクロRNAを活用した食道がん早期発見の新たな光

2024年10月、ウィーンで開催されるUEGW2024において、Craif株式会社が国立がん研究センター東病院および東京都立多摩総合医療センターとの共同研究成果を発表します。この研究は、食道がんの早期発見に向けた新しいアプローチを示し、非常に注目されています。

研究の背景と目的

食道がんは早期発見が難しく、進行すると治療が困難になるため、早期発見が重要です。Craifは、尿中のエクソソーム由来マイクロRNAを使用した新しい診断パネルの開発を目指しました。この研究では、特に食道扁平上皮がん（ESCC）を対象にしています。

研究方法と解析

研究チームは、前向きコホートでのデータを基に、56種類のマイクロRNAを特定し、これを用いて機械学習モデルを構築しました。5-foldクロスバリデーションを実施した結果、AUC（曲線下面積）は0.897という高い精度を達成し、臨床情報をブラインドにした検証コホートでもAUCが0.846に達しました。

この成果は、尿中マイクロRNAが食道がんの早期検出において有用なバイオマーカーであることを示しています。

重要性と将来の応用

研究の中で特に強調されたのは、早期ステージ（Stage 0/I）の食道がん患者における高い検出精度です。これにより、従来の診断法で見逃されがちな初期がんの発見に対して、重要な意義を持っています。また、尿を用いた非侵襲的なスクリーニングが可能であるため、大規模なスクリーニングプログラムの導入が期待されています。