音楽による新たな支援モデル「ルフラン」が誕生
由利本荘市で2025年11月に開所予定の「就労継続支援B型事業所 ルフラン」。この事業は、ハーモニックス合同会社が手がけ、音楽や表現活動を活用した新しいアプローチで、心の回復と就労支援を両立させることを目的としています。代表の佐久間玲奈氏自身がかつて引きこもりの経験を持ち、音楽によって社会復帰を果たした一人であるため、その想いはひたむきです。「仕事だけの支援では足りない」と感じた彼女は、若者たちに生きがいと自立の機会を提供したいと考えました。
開所の背景と経験
佐久間氏は、高校を卒業後の4年間、引きこもり生活を経験します。その後、秋田県にある自立支援施設で音楽活動に触れ、社会復帰のきっかけを得ました。特に2010年のモントルー・ジャズ・フェスティバルでの経験は大きく、音楽が人の心を立ち直らせる力を実感しました。この経験を経て、介護福祉士や社会福祉士、公認心理師の資格を取得し、14年間にわたり就労支援に携わってきましたが、制度の狭間に取り残される若者たちを目の当たりにしてきた彼女は、「生きがいの場が必要」との考えを抱くようになります。
具体的な支援内容と意義
「ルフラン」では、若者たちに向けた「音楽・表現活動プログラム」を中心に、多様な支援プログラムを展開します。具体的には、以下の四つのプログラムが設けられています。
1.
音楽・表現活動プログラム:音楽を通じて自己肯定感を育み、成果を発表する機会を提供します。
2.
よろず便利屋サービス:高齢者世帯を訪問し、生活支援を行いながら地域とのつながりを深めます。
3.
ユニバーサル就労支援:参加者の状態に応じて、地域企業での実習を段階的に行います。
4.
アウトリーチ支援:外出が困難な方々に、訪問やオンラインでサポートを行い、支援の手を届かせます。
これらのプログラムは、多様なニーズに応じてカスタマイズされているため、参加者が「音楽が苦手でも地域の仕事に興味がある」など、個々の希望に沿った形で支援を受けることができます。さらに、この取り組みは秋田県の人口減少や孤立といった社会課題に対する新たな解決策としても注目されています。
社会的な支持と実証成果
就労支援「ルフラン」は、秋田県「若者チャレンジ応援事業」に特例採択を受け、400万円の助成金を得て実証実験を行っています。実際に試行された音楽ワークショップには合計で115名が参加し、その70%が継続利用を希望するという結果が得られました。参加者の声として、「音楽を通じて自分を表現できる場ができた」と好評を博しています。これは、単なる支援を超えた、心のつながりを生むプログラムであることを証明しています。
「ルフラン」の未来と展望
「音楽は人を社会に再びつなげる力がある」との信念を持つ佐久間氏は、今後、全国に広がる「音楽×福祉×地域支援」のモデルを発信し、人々が自分らしく生きられる社会を築いていく意向です。地域を超えて、多くの人たちが一緒に生きる場所を目指し、音楽がその架け橋となることを期待されています。本事業は、特に制度の狭間にいる方々から多くの支持を受けており、未来の可能性を開くモデルとなるでしょう。