中国における日系企業の動向：地域分布と新設企業の変化

中国における日系企業の動向

リスクモンスター株式会社が発表した「第2回中国日系企業の地域分布ランキング」は、中国市場における日本企業の最新の状況を示しています。この調査は、2025年4月時点での法人登記情報に基づき、日本企業が出資する27,148社を対象に実施されました。日系企業の地域分布について深掘りし、注目すべきトレンドを明らかにします。

日系企業の集中地域

調査結果では、日系企業は「上海市」、「江蘇省」、「広東省」といった地域に依然として集中していることが分かります。具体的には、上海には7,943社が存在し、全体の約29.3%を占めています。江蘇省と広東省もそれぞれ14.2%、13.3%のシェアを持ち、この三つの地域で全体の56.8%を占めることから、日系企業がこのエリアに強く依存していることがわかります。

一方、8位の天津市や10位の湖北省は微増ながらも安定しており、他のほとんどの地域では企業数が減少しています。特に「山東省」では、休廃業や撤退が相次ぎ、シェアが0.7ポイント低下しました。この地域では、競争激化や人件費の上昇が業績に影響を及ぼしているとされています。

新設企業の状況

新設日系企業についての地域別分布を見てみると、「広東省」が403社と最も多く、新設数では首位を占めています。上海や江蘇も引き続き主要な市場であり、これら三地域の企業が全体の約50%を占めています。

興味深いのは山東省の状況で、全体の企業数では6位に留まるものの、新設企業数はランキング外。新設企業が急増している他地域と対照的に、山東は減少傾向を続けており、その背景には経済構造の変化があると考えられます。

今後の戦略

近年の中国市場はサービス業の成長と消費の回復により急速に変化しています。そのため、日系企業の立地選定にも影響を与えています。特に2023年以降の新設企業は消費力の高い地域に集中しています。これに伴い、広東省、浙江省、重慶市が新たな企業の中心地となる傾向が見られます。

このような市場の変化を受けて、日系企業は地域ごとの経済環境をしっかりと見極めながら、拠点戦略を進化させていく必要があります。撤退や進出のための判断においても、地域分布の変化に注目することが重要です。