NTTテクノクロスが,「SynoraVoice」を発表
NTTテクノクロス株式会社が2025年9月16日から提供開始予定の音声変換ソフトウェア「SynoraVoice(シノラボイス)」。このソフトは、話者の声を瞬時に別の声色へと変化させる能力を備えています。「SynoraVoice」は、Synchronize(同時性)、Synergy(相互作用)、Synonym(同義)を組み合わせた造語で、最新の技術を反映したものです。
音声変換の背景と課題
近年、AI技術の進化に伴い、音声認識やテキストからの音声合成が改善されています。しかし、話者の声を別の声に変える「音声変換」には遅延が発生しやすく、会話をスムーズに行う上での障害となっていました。また従来の「ボイスチェンジャー」は機械的な音声に留まってしまい、自然な会話には不向きでした。
NTTテクノクロスは、これらの課題解決のために、NTTコミュニケーション科学基礎研究所が開発した「リアルタイム音声変換技術」を活用しました。これにより、高精度かつ迅速な音声変換が可能となり、円滑なコミュニケーションを実現します。
「SynoraVoice」の特長
瞬時に変換可能
開発した技術を用いて、話者の声を瞬時に好きな声色や話し方に変換することができます。これにより、さまざまな用途に即した音声が創り出せます。
多様な音声モデル
男声4種、女声4種の合計8種類の音声モデルが標準搭載されており、用途やシーンに応じて最適な音声を選択できます。さらに新たな音声モデルをカスタマイズし、追加することも可能です。
アプリケーションとしての利用
「SynoraVoice」はWeb会議システムや各種プラットフォームと連携可能な独立したアプリケーションとして提供されるほか、既存システムに組み込むことのできるソフトウェアライブラリとしても利用可能です。
想定される利用シーン
「SynoraVoice」は多岐にわたる分野での活用が期待されています。特にメタバースやYouTube配信においては、視聴者とアバターが会話をする際に魅力的な体験を提供できます。また、公共施設や交通機関での案内音声としても効果的で、騒がしい環境でも聞き取りやすい声を提供します。
さらに、コールセンターにおいてはオペレーターの声を優しいトーンに変えることで顧客に安心感を与えたり、毅然としたトーンにすることでカスタマーハラスメントの軽減を図ることも可能です。
今後の展望
NTTテクノクロスは今後、音声モデルの拡充や機能性の向上を目指し、さらなるバージョンアップに取り組む方針です。「SynoraVoice」は法人向けのライセンス販売のみとなり、一般の方への販売は行われていません。
このように、「SynoraVoice」はエンタテインメントや公共サービスなど、さまざまな場面で新たな音声体験を提供し、利用者にとっての価値を高めることが期待されています。