スーパーコンピュータ「富岳」の輝かしい成果
国立研究開発法人理化学研究所と富士通が共同で開発したスーパーコンピュータ「富岳」が、最新のスーパーコンピュータ世界ランキング「Graph500」で11期連続の世界第1位を達成しました。この成果は、2020年4月の試行利用を経て、2021年3月に本格稼働を開始して以来、実現されたものです。
「Graph500」以外にも、「TOP500」では第7位、HPCG(High Performance Conjugate Gradient)で第2位、そしてHPL-MxPで第6位と、多彩なランキングでの上位入賞も果たしています。これにより、「富岳」の能力と信頼性が国際的に認められていることが浮き彫りになりました。
これらの結果は、現在ドイツ・ハンブルクで開催中のHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)に関する国際会議「ISC High Performance 2025」において発表されました。ここでの発表は、最新の計算技術やその応用が広がる中で、重要な役割を果たしています。
幅広い分野への影響
「富岳」は特にライフサイエンスや防災・減災、エネルギー、ものづくり、基礎科学、さらには社会経済などの様々な分野での研究・開発に寄与しています。例えば、富士通は国立大学法人横浜国立大学と協力し、「富岳」を駆使して、台風による竜巻の予測を可能にする気象シミュレーションを世界で初めて成功させました。このような取り組みにより、実社会における問題解決に貢献していることが強調されています。
今後の展望
今後、富士通は「富岳」で培った技術をさらに進化させていく方針です。その一環として、次世代の高性能、省電力を実現するためのArmアーキテクチャのCPU「FUJITSU-MONAKA」の開発も進めています。これは最先端の2ナノメートルテクノロジーを基にしたプロセッサで、独自のマイクロアーキテクチャと低電圧技術を活用し、高い電力性能を実現しています。
業界標準のソフトウェアに対応しやすく、今後はより多くの研究者や開発者がその性能を簡単に引き出せる環境を構築していくことが期待されます。これにより、更なるイノベーションが社会全体にもたらされることになるでしょう。
SDGsへの貢献
富士通は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた活動を重視しています。「富岳」を通じた技術開発は、イノベーションによって社会へ信頼を提供し、より持続可能な未来を築くための一助となると考えています。2030年までに達成すべき共通の目標に向けて、技術を活用した社会貢献を誓います。
このように「富岳」は、ただの計算機を超え、社会の進展に寄与する強力なパートナーとして位置づけられています。今後のさらなる成果に期待が寄せられます。