インドネシアのスコワティ油田でCO2圧入試験開始
昨今の地球温暖化対策において、二酸化炭素(CO2)の回収と貯留(CCUS)技術は、その重要性が増しています。このたび、JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)は、インドネシアの国営石油会社であるPT Pertaminaと、子会社のPT Pertamina EP、さらに石油資源開発株式会社(JAPEX)との間で、共同研究契約を締結しました。目的は、スコワティ(Sukowati)油田における坑井間でのCO2圧入試験の実施です。
CO2-EORとは?
CO2-EOR(Enhanced Oil Recovery)は、炭酸ガスを利用して原油回収を進める手法です。具体的には、地下に圧入したCO2が原油を押し出すことで、より多くの石油を取り出すことができます。この技術は、資源の有効活用と同時に、大気中のCO2排出を抑える効能が期待されています。
研究の概要
本契約に基づく共同研究は、2023年12月にスコワティ油田でのCO2圧入を行う予定で実施されます。具体的には、単一の坑井を用いてHuff and Puff法による試験が行われ、約500トンのCO2を地下に圧入します。この過程で取得される地下データは、CO2-EORおよびCO2貯留の効果を確認するための重要な資料になる見込みです。
スコワティ油田の特性
スコワティ油田は、大規模なCO2排出源が近隣に位置しており、さらに地下の貯留層もCO2-EORに適した条件を備えているとされています。このことから、今後の商業開発に向けた試験として非常に重要な位置づけがなされています。
共同研究に携わるJOGMEC、JAPEX、プルタミナ、そしてPEPの四者は、これまでの技術スタディを活かしながら、試験を大規模な条件下で実施する計画を進めています。これにより、坑井間でのCO2の圧入によるEOR効果およびCO2貯留効果を明確にすることを目指しています。
期待される成果
過去の試験結果が良好であったことに加え、今回の大規模試験が成功すれば、将来的にはアジア地域におけるCCUSネットワークの構築にも寄与することが期待されています。この research effort は、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)やアジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)の進展に寄与します。
まとめ
JOGMECは、アジア地域のエネルギー安全保障の向上や持続的な経済発展、カーボンニュートラルの実現に向けて、今後も引き続き取り組む所存です。特にインドネシアでは、これらの技術の実用化が期待されています。CO2による新たな価値創造が、持続可能な未来を切り開く鍵となるでしょう。