新時代の送金基盤「Project Pax」がもたらすクロスボーダー送金革命
金融業界の新たな動きが始まりました。Progmat, Inc.と株式会社Datachainが共同で立ち上げた「Project Pax」は、ステーブルコインを活用したクロスボーダー送金基盤の構築を目指しています。このプロジェクトは、国内外の金融機関との実証実験を通じて、国際送金の効率化を図るものです。
クロスボーダー送金市場の現状
2022年の時点で、クロスボーダー送金市場は182兆ドル、すなわち約28,000兆円にまで成長しています。しかし、この市場は「送金コスト」「着金スピード」「アクセス」「透明性」といった観点での抜本的な改善が求められています。これを受けて、Progmat社とDatachain社は新たな基盤の創出に取り組むことにしました。
Project Paxの概要と目的
Project Paxの目的は、高速かつ安価で、24時間365日稼働可能なクロスボーダー送金を実現することです。特に、AML(アンチマネーロンダリング)やCFT(テロ資金供与防止)、規制への対応を含んだオペレーション構築が重要視されています。SwiftのAPIフレームワークを活用することで、銀行を通じたステーブルコイン送金が可能になります。
実証実験は既に主要な国内外金融機関の関与が決まっており、2025年の商用化を目指して拡大していく予定です。
ステーブルコインの意義
彼らの取り組む中で、ステーブルコインの市場は急成長しています。2023年の時点で、SCの発行時価総額は25兆円を超えていますが、なおも法定通貨に対しては0.5%未満の水準です。これは、SCの利用が暗号資産などのトレーディングに偏っているためで、実体経済における決済手段としては成長途上です。
2024年内には、日本でもSC関連法が施行される予定で、これにより規制に沿ったSCの発行や利活用が期待されています。Progmat社は、法規制への対応を考慮しながらさまざまなブロックチェーンに対応した「Progmat Coin」基盤の開発を進めています。
具体的な連携内容と期待される効果
「Project Pax」においては、Progmat社とDatachain社が協力し、SwiftのAPIを用いてクロスボーダー送金基盤を構築します。この基盤で実現されることには、ブロックチェーン間のSC送金や、既に発行済みのSCの利用などが含まれています。
特に注目すべきは、プラットフォームが提供する利便性です。SCやブロックチェーンの存在を意識せずとも、従来の国際送金と同様のプロセスで、より速度の劣ることなく送金が可能になるとされます。これにより、企業は新たなシステム構築の負担を感じることなく、コスト削減を実現することが期待されています。
未来に向けての展望
Project Paxは、2025年の商用化を目指して着実に進展しています。実証実験を積み重ねることで、定量的な効果を検証し、また参加金融機関や地域の拡大を図ることで、国際決済網のグローバルスタンダードを構築していくことを目指します。
このプロジェクトの成功により、国際送金がより身近なものとなり、さらには経済格差や課題に対する解消活動にも寄与することが期待されます。Project Paxの今後の動きに、私たちも注目していきたいと思います。