脱毛サロン業界が深刻な危機に直面しています。最新の調査によれば、2025年の1月から7月の間に、医療クリニックを含む脱毛サロンが12件も倒産し、前年比で3倍のペースで膨れ上がっています。このまま行けば、通年では過去最多の倒産件数を大幅に更新する見込みです。
特に注目すべきは、脱毛業界の最大手である「ミュゼプラチナム」を運営していたMPH株式会社が、8月18日に破産手続きに入ったことです。この事件は、業界全体の信頼感をさらに損なう要因となりました。実際に、MPHは未施術の顧客を含む債権者が約20万人に上るとされています。
背景には、価格競争の激化があるようです。脱毛サロン業界では、数多くの事業者が若年層をターゲットにし、広告塔として著名なタレントを起用するなど、過剰な宣伝攻勢を展開してきました。その結果、先行投資としての前受金が多く集まりましたが、結局は集客のために広告費に多額の資金を注ぎ込んだ企業が多く、不採算を招いてしまいました。
そのような状況下で、実際に契約した顧客が施術を受けられないという悲劇が続出しています。業界の統計では、いまや赤字に陥る事業者が4割に達しており、業績が悪化している企業も半数以上とされています。特に2024年度においては、約4割が赤字に陥る見込みで、業界全体の信頼回復には相当な時間と努力が必要になるでしょう。
都市部では賃料の高騰や円安により、脱毛機器の導入コストが上昇していることも影響し、出店コストが年々増大しています。さらに、スタッフの離職率が高く、採用も困難となっていて、その結果、研修コストを含めた人件費も増大しています。
最近では、物価高の影響を受ける消費者は美容にかける予算を慎重に考えるようになっており、特に脱毛サロンに対する不安感が漂っています。このような影響から、既存顧客の再来店率や定額会員の継続率が下がり、新規顧客の獲得も難しくなっています。
ミュゼプラチナムの破産は、この業界のビジネスモデルが限界に達していることを示しています。多額の広告宣伝費と高価格な施術コースに依存してきたツケが回ってきているのです。脱毛業界は今まさに、信頼を回復するための新たなアプローチが求められる局面に立たされています。業界内で見直し、再生策を模索する必要があるでしょう。
結局のところ、脱毛サロン業界は、集客と顧客信頼を維持するための革新的なビジネスモデルを追求することが急務です。これまでの運営方式を見直し、顧客に安心感を提供することが、業界の未来を切り開く鍵となるでしょう。