一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)は、生成AI利用に伴う法的な問題を整理した「法と技術の検討委員会報告書Ⅱ- AI利用に関するユースケース」を発表しました。この報告書では、特に企業や組織が生成AIを使用する際に直面する可能性のある法的論点を深堀りしています。
最近、生成AI技術は急速に普及しており、さまざまな業務における効率化や新たな価値創出が期待されています。しかし一方で、個人情報保護や著作権に関連するリスクが過剰に懸念され、企業の利用が進まない事例も見受けられます。JDLAの報告書では、このようなリスクを軽減しつつ、企業が合理的な判断を下せるためのガイドラインを提供することを図っています。
生成AIと個人データ
報告書の主な論点の一つは、生成AIにおける個人データの取り扱いについてです。従来、企業は「生成AIへの個人情報入力禁止」といった一律的な方針を取ることが一般的でしたが、AI技術の進化により、これらの運用方針は見直しが必要とされています。法と技術の検討委員会は、生成AIに個人データを入力する行為が、条件次第で適法であるとの見解を示し、実際に利用可能なケースを整理しています。
具体的な生成AIサービスへの考察
特に代表的な生成AIサービス、具体的にはGemini、ChatGPT、そしてMicrosoft 365 Copilotに関して、ある種の条件下では個人情報の入力が合法かつ可能であることが明記されています。この見解は、企業が生成AIを使用する際の不安を軽減する助けとなるでしょう。
著作権のリスク対応
もう一つの重要なポイントは、AIによって生成されたコンテンツの著作権侵害のリスクです。AI技術が進化することで、すべての生成物について個別に著作権侵害のリスクを評価することがますます難しくなっています。そこで、JDLAは「生成AIの使い方」に注目した新たなアプローチを提案しています。
生成AI使用時のルール設計やプロセス整備の重要性を強調し、AI生成物の事後的な確認に依存するのではなく、利用プロセスの段階での意識を高めるべきであるとの提言がなされています。これにより、著作権侵害のリスクを相当程度低減できると考えられています。
報告書の目的
この報告書は、生成AIの利用を一律に制限するものでも、無条件に推奨するものでもありません。最終的な判断は各企業や組織によって行われるべきであり、本報告書はその参考情報を提供するものです。法と技術の検討委員会には、法律、技術、ビジネスの専門家が参加しており、現行法の枠組み内での実践的な検討が継続的に行われています。
まとめ
JDLAはこの報告書を通じて、生成AIが持つ可能性とリスクについてバランスの取れた理解が重要であることを強調しています。企業がリスクを過度に避けるのではなく、現行の法律の枠内での徹底したガバナンスをもって生成AIを活用することが求められています。この報告書の詳細はJDLAの公式サイトで確認できるため、興味のある方はぜひご覧ください。