日本航空の革新:リブレット形状塗膜導入の意義
日本航空株式会社(JAL)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、そしてオーウエル株式会社と共同で、世界初となるリブレット形状の塗膜をボーイング787-9型機に施した。これにより、国際線として運航することも初の試みとなる。注目すべきは、2025年1月中旬に運航を開始する予定であるという点だ。
リブレット形状塗膜は、その特異なデザインで空気の流れを改善し、飛行時の抵抗を低減する構造を持つ。この技術は、サメ肌のような微細な溝を利用することで、航空機の燃料効率を高めることが期待される。JALは2022年7月から国内線のボーイング737-800型機を用いて、安全性や耐久性を検証してきた。
環境への配慮
航空業界では脱炭素化が求められており、JALとJAXA、オーウエルの三者はその促進に力を入れている。具体的に、リブレット形状塗膜施工における新技術Paint-to-Paint Methodを用いることで、塗膜の重量を軽減しながらもその耐久性を向上させることに成功した。この手法は、塗膜に直接リブレット形状を施すため、デカールやフィルムと比べて扱いやすい。
風洞試験と数値解析を経て、国際線機材における抵抗低減効果が確認された。また、オーウエルが開発した施工システムにより、機体胴体の大部分にリブレット形状塗膜を施すことが実現した。特に長距離のフライトにおいて、この新技術はさらなる燃費改善につながる可能性が高い。
実際の効果
今回のリブレット形状塗膜の導入により、ボーイング787-9型機の巡航時の抵抗低減率は0.24%に達する。これにより、年間で約119トンの燃料消費を削減でき、加えて約381トンのCO2排出量を削減する見込みである。これはスギの木27,000本が年間で吸収するCO2量に匹敵するとも言われている。
今後の展開
JAL、JAXA、オーウエルは今後もリブレット塗膜の耐久性、美観性、燃費効果を実証していく方針で、さらなる施工範囲の拡大も目指している。航空機の脱炭素化に向けた積極的な取り組みが続く中、このリブレット塗膜の導入は航空業界における技術革新の一助となることが期待されている。三者の連携により、持続可能な航空運営のモデルケースが構築されることだろう。