AI技術を活用した山岳トンネル工事の新システム
山岳トンネル工事は、地殻を穿つ複雑な作業であり、高度な技術と経験を要する分野です。その中で、巧みに装薬(爆薬)の量を計画し、発破掘削を行うことは品質と安全性を確保するために必要不可欠です。
この度、
株式会社奥村組が東京都の
株式会社ジェーエムエーシステムズ、横浜市の
アクロクエストテクノロジー株式会社と共同で開発した「装薬量計画システム」は、AI技術を駆使し、発破掘削の効率化を図る画期的なソリューションです。これにより、熟練技能者の能力に頼ることなく、より安定した品質の掘削が可能になります。
新システムの背景
トンネル工事では、熟練した技能者が掘削面の岩盤状態を把握し、それに基づいて装薬パターンを計画します。このプロセスは技能者の経験や知識に大きく依存し、時に品質にばらつきを引き起こすこともあります。さらに、技能者の減少が課題となる中、作業の自動化や生産性向上が求められています。そこで、ICT技術の導入が進められ、この新しいシステムの開発に至りました。
装薬量計画システムの概要
このシステムは、大きく分けて以下の3つのステップから成り立っています。
1.
穿孔データ取得・編集: コンピュータジャンボ(掘削機)から穿孔データを専用のPCに転送し、AIモデルに適した形に編集します。そのデータはクラウドにアップロードされます。
2.
装薬量推論実行: クラウド上のAIモデルにより、過去の施工データを基に、装薬孔ごとの適切な装薬量を迅速に算出します。
3.
推論結果の表示・出力: AIが算出した装薬量計画値が視覚的に表示され、即座に確認することができます。
この一連のプロセスは、わずか5〜10分程度で完了し、迅速な意思決定を可能にします。特に、発破孔ごとの装薬量が正確に計画できることは、施工現場において非常に有益です。
現場での検証結果
実際に、四国地方整備局が発注した「令和5-7年度 窪川佐賀道路見付トンネル工事」において、本システムの装薬量設定の精度が検証されました。外周の装薬孔に対して、AIによる装薬量計画値と熟練技能者の実績値を比較した結果、計画値は340〜390gと計測され、熟練技能者の決定値400gに非常に近い結果が出ました。これにより、システムが実用的かつ正確な装薬量を計画できることが確認できました。
今後の展望
今後、奥村組はコンピュータジャンボを使用する他のトンネル現場への本システムの導入を進める予定です。加えて、AIモデルの精度向上に向けた取り組みも進め、より高性能な装薬量計画システムの実現を目指します。また、装薬孔の穿孔配置を効率的に設計するシステムも開発し、全体を通しての発破パターン計画システムへの発展を視野に入れているのです。
お問い合わせ先
本件に関する詳しい情報は、株式会社奥村組の技術本部技術研究所企画管理グループまでお願いいたします。