乳製品の摂取と血圧の関係を探る
弘前大学と雪印メグミルクが共同で設立した「ミルク栄養学研究講座」が、青森県弘前市で行われた研究を通じて、牛乳や乳製品の摂取量が収縮期血圧に与える影響を明らかにしました。この研究結果は、国際的な学術誌「Hypertension Research」で発表され、話題を呼んでいます。
研究の背景
高血圧は心血管疾患の主要なリスク要因とされ、特に日本では食塩の多過ぎる摂取が問題視されています。しかし、牛乳や乳製品が高血圧予防に寄与する可能性がありながらも、これまでの研究の多くは日本人特有の食習慣を考慮したものではありませんでした。そこで、弘前大学は岩木地区の住民を対象に牛乳及び乳製品摂取と血圧の関連を調査することに決定しました。
研究方法
研究は、2015年の岩木健康増進プロジェクト健診に基づいて実施され、1,071名の参加者から得られたデータをもとに行われました。研究では、参加者の乳製品摂取量を食事歴法で算出し、血液検査で測定した110種類の指標を解析しました。分析には、年齢、性別、食塩摂取量等の因子を調整した重回帰分析が用いられました。
研究結果
調査の結果で特記すべきは、牛乳や乳製品の摂取量が多いほど収縮期血圧が低下するという明確な関連性が報告された点です。特に降圧薬を服用していない795名のサンプルでは、普通及び高脂肪の乳製品の摂取が収縮期血圧を低下させることが確認され、さらには高血圧リスクの低下とも関連していました。
更に、血液指標の解析から、リンの代謝に関与する指標と牛乳・乳製品摂取量、血圧との関連も明らかになりました。このことは、牛乳に含まれる栄養素が高血圧に対して有意に作用する可能性があることを示唆しています。
健康増進を目指す今後の研究
弘前大学と雪印メグミルクは、今後も共同研究を通じて、乳製品摂取の健康効果を探求し、健康ビッグデータを活用した新しい知見の創出を目指します。「ミルク栄養学研究講座」は、乳製品が持つ健康価値を深く掘り下げることを愉しみにしています。特に、地域住民の健康促進や、乳製品の摂取を通じた疾病予防に繋がる新たな知見が期待されます。
結論
本研究から得られた知見は、日常的な乳製品の摂取が日本人の収縮期血圧を低下させ、高血圧リスクを減少させる重要な要素であることを示唆しています。これからも弘前大学と雪印メグミルクの取り組みに注目が集まることでしょう。
以上のように、乳製品は私たちの健康に寄与する可能性があり、今後の研究がさらなる健康価値の発見に繋がることが期待されます。