積水化学工業がタイで生産能力を強化
積水化学工業株式会社(代表取締役社長:加藤敬太)は、2024年7月22日にタイのラヨン県における合わせガラス用中間膜の生産能力を拡充する計画を発表しました。今後、約80億円の投資を行うこの取り組みにより、2026年度の下期から新設された「膜ライン」が稼働を開始する予定です。
背景と市場の動向
同社の中間膜事業部は、自動車や建築物に利用される合わせガラス用中間膜をグローバルに製造・販売しており、特に自動車市場においては世界トップシェアを誇ります。自動車生産台数は今後、年率1~2%のペースで成長すると予測され、2030年には98百万台に達する見込みです。さらに、新エネルギー車(EVのような新しい技術を取り入れた車両)の需要が急増しており、それに伴って合わせガラス用中間膜の使用範囲も広がっています。
自動車のフロントガラスだけでなく、サイドガラス、ルーフガラスへの利用が増加し、補修ニーズも高まっています。安全性や快適性、省エネ性を求める声も高まっており、高機能な中間膜の需要は年率5%以上のペースで成長することが見込まれています。これを背景に、同社は2017年にメキシコで遮音中間膜の生産を開始し、2020年にはオランダでHUD用くさび形中間膜の製造を始めました。今般、タイのラヨン工場では、HUD用くさび形中間膜やカラー/デザイン中間膜を中心とした新しい生産ラインを設けることが決まりました。
タイの工場について
積水化学のタイ工場、SEKISUI S-LEC(THAILAND) CO., LTD.は100%出資で運営されており、社長は鈴木康幹氏が務めています。この工場は、以下の場所に位置しています。
- - 住所: 64/31 Moo4 Eastern Seaboard Industrial Estate, T.Plaukdaeng A. Pluakdaeng Rayong 21140, Thailand
ここで生産されるのは、合わせガラス用中間膜の多様なラインナップです。従来の膜に加え、遮音、遮熱、及びデザイン性に富んだ中間膜が取り扱われます。最終的には、自動車700万台分の中間膜を生産する能力が向上します。
持続的な発展への取り組み
積水化学工業は、この生産能力拡充を通じて成長を続ける自動車産業への貢献と、社会課題解決に向けた高機能・高付加価値製品の開発に注力していくとしています。また、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みも忘れず、革新的な技術の応用を進めていく方針です。
このように、タイでの生産能力増強は、世界でのシェア拡大の一環として位置づけられています。自動車業界の変化に適応しながら、さらなる成長を目指す積水化学の次なるステップに注目です。