成人式の意義と経済効果を探る1000人アンケートの結果
成人式は、日本の重要な伝統イベントとして、新成人を祝い、同時に地域経済に対しても大きな影響を与える行事です。この行事には、振袖の購入やレンタル、着付け、ヘアメイク、写真撮影、会場利用など、さまざまな関連サービスが伴い、多方面での経済活動が見られます。実際、成人式に関連する経済効果は約1,300億円と試算されており、これは他の主要なイベントにも劣らない規模となっています。
成人式を支える着物業界も、振袖の需要が年間の中で最大となり、全体の市場規模の中でも重要な位置を占めていることが示されています。ただし最近では「ママ振」として親から受け継いだ振袖を着用する新成人が増えているため、振袖の購入やレンタル市場にも変化が出ています。具体的には、振袖の物販、レンタル、ママ振の利用比率は約2:4:4と考えられており、この変化が市場に与える影響を無視することはできません。
成人式は単に着物業界だけに留まらず、飲食業、写真館、美容院、交通機関に至るまで、多くの業種に経済効果をもたらします。新成人とその家族が地元での消費活動を行うことで、地域の経済が活性化され、さらには観光需要も生まれます。特に地方都市では、成人式に際して帰省する人々や観光客が増え、宿泊業や土産物店などにも好影響を与えます。
また、ナビットが行った全国の主婦対象による「成人式」に関する1000人アンケートは、新たな視点から成人式の実態を浮き彫りにしました。2024年12月に実施されたこの調査では、様々な世代の男女から回答が寄せられ、成人式への参加についての意識を探りました。
調査の結果、成人式に参加したと答えたのは64.4%、参加していない人は35.6%ということが明らかになりました。予想に反して参加者はそれほど多くなく、成人式の参加意識について改めて問い直す必要があることが浮かび上がります。さらに、参加した方々に満足度を尋ねたところ、「どちらかと言えば良かった」と回答した人が最も多く50.7%に達し、「とても良かった」との回答も含めて、約7割近くの人が成人式をポジティブに捉えていることがわかりました。
成人式参加の理由として最も多かったのは「同級生と会いたかったから」で、これは全体の25.4%を占めています。続いて「人生の節目として参加」が11.9%で、「記念として参加」が9.4%と続きます。
着物を着る風習についての調査結果は興味深く、36.9%が残すべきだと考え、53.5%はどちらとも言えないと答えています。このように、成人式は参加者にとって重要な文化的イベントであり、思い出に残る日となっていることが伺えます。実際、調査では多くの人が成人式での着物選びや思い出に関して肯定的な意見を述べていました。
さらに、2022年に成人年齢が18歳に引き下げられたことにより、成人式の在り方についても議論がなされています。自治体によっては18歳での成人式を検討する動きもありますが、受験や学校行事との兼ね合いから難しいともされています。一方で、合併方式として18歳で選挙権を祝う簡易的なイベントを取り入れる自治体も増えてきています。これによって、法律上の成人と文化的な成人をどう両立させるかが課題となっています。
このように、成人式は新成人にとっての意義が深いイベントであると同時に、地域経済にも影響を及ぼします。今後も、変化する時代の中で成人式の形は進化していく必要があるのかもしれません。