京都外国語大学と月桂冠の共同研究
京都外国語大学と月桂冠総合研究所の研究チームは、商品PR動画とパーソナライズされた対話型ロボットを組み合わせることで、消費者の購入意欲を高める可能性を探求しました。この成果は、2025年にスウェーデン・ストックホルムで開催される国際会議「The International Conference of Serviceology 2025」で発表されることが決まりました。
研究の背景
近年、生成AI技術の急速な発展は、マーケティングの分野でも注目されています。しかし、AIは感情を持たず、消費者との対話において人間的な共感を欠くことが課題とされました。このため、本研究では「人工共感」という概念が重要であるとされ、ロボットやAIとの共感の関係性が研究の焦点となりました。
研究目的と方法
この研究の目的は、パーソナリゼーションされた対話型ロボットが商品PRにおいてどれほどの価値を創出できるかを検証することです。実験には、京都外国語大学の学生53名が参加し、彼らは商品PR動画として月桂冠の日本酒PR動画を視聴した後、異なるタイプのロボットとの対話を行いました。
実験では、生成AIを用いてモニターの好みに応じて口調を調整したパーソナリゼーションロボットと、調整を行わない標準的なロボットが用意されました。モニターはロボットとの会話を通して、どのように購入意欲に変化が生じるかを調査しました。
研究結果
パーソナライズされたロボットとの対話が、エンターテイメント性を向上させることが確認され、これが「信頼性」を高める要因となり、最終的に購入意欲の向上につながる可能性が示唆されました。これは、動画の視聴だけでなく、個々の特性に合わせたロボットとの対話が効果的であることを意味します。
今後の展望
京都外国語大学と月桂冠総合研究所は、今後も共感を活用した新たな価値共創の研究を続け、マーケティング手法を革新すると共に、より良い顧客体験を提供していく方針です。これは、消費者と企業がともに新しい価値を生み出す重要な取り組みとなるでしょう。
学会発表の情報
本研究は「The International Conference of Serviceology 2025」で発表され、研究者たちは共感を基にした提案を通じて、より実践的なマーケティング戦略を探る予定です。発表日時は2025年12月3日で、京都外国語大学をはじめ、多くの機関の研究者が関与しています。
この共同研究を通じて、企業と消費者の新たな関係性が築かれることが期待されています。