日本IBMと博報堂プロダクツが進めるAI活用の新たな時代
近年、企業のデジタル化が加速する中、業務プロセスの効率化が急務となっています。そんな中、日本IBMと博報堂プロダクツが手を組み、経費精算業務の自動化に向けた実証実験を行ったことが注目を集めています。2025年8月から4か月間にわたって実施されたこのプロジェクトでは、経費精算チェック業務の約90%がAIによって自動化できることが分かりました。
背景:複雑な経費精算業務の課題
博報堂プロダクツは広告制作や販促など多岐にわたるサービスを展開する企業で、業務の効率化や生産性向上を図るためにAIの活用を進めています。しかし、経費精算チェック業務には多段階の確認プロセスが存在し、そのため業務が複雑化。申請件数も膨大で、担当者の負担が増加していました。これらの課題解決が求められました。
実証実験の進行と成果
日本IBMは、「AI+」という新たなアプローチを提案。この考え方は、AIを業務の中心に据え、業務プロセス全体を再設計し、AIと人間が協力して最大限の価値を生み出すことを目指しています。実証実験では、経費精算チェック業務の手順を見直し、一元化。AIによって申請内容と社内規定の整合性を自律的に判断する仕組みが構築されました。
この結果、以下のような具体的な成果が得られました。
- - 工数削減: AIが一次チェックを代行することで、担当者はより高度な判断が求められる業務に集中できるようになり、経費精算チェック業務全体の工数を90%以上削減。
- - チェック精度の向上: AIによるチェックの精度は90%以上に達し、人と同等以上の精度で安定的な運用が可能に。
- - ガバナンスの強化: AIによる自動検証によって、チェック項目の一貫性が保たれ、属人的な判断を回避。全社的なガバナンスを強化することができました。
今後の展望
博報堂プロダクツは、AI活用を企業戦略の根幹に据え、バックオフィスの業務改革をさらに推進していく考えです。今後の取り組みでは、効率化だけでなく高付加価値化も両立し、全社的な生産性向上を目指します。日本IBMも引き続き、AIと人間が協働する新たな業務プロセスの設計から導入、定着までを支援していく予定です。今回の経費精算業務の自動化に成功したことを皮切りに、両社はより広範な業務範囲でのAI活用を目指していくとしています。
この革新的な取り組みは、今後のビジネスのあり方を変えるかもしれません。AIによる業務改革が、さらに多くの企業に広がっていくことを期待しましょう。