江副記念リクルート財団 アート部門による新たな展覧会
2025年8月19日から9月14日までの間、東京・九段下の九段坂上KSビル1Fロビーにて、江副記念リクルート財団のアート部門奨学生による初のグループ展「回帰観測」が開催されます。この展示は、日本をルーツとしつつ、海外の美術大学で学ぶ若手アーティストたちが「回帰」と「観測」というテーマを通じて、独自の視点を持ち寄る機会を提供します。
「回帰観測」とは?
「回帰観測」は、日本という地点から発進し、異なる文化や土地で得た経験をもとに再び自らを見つめ直す行為です。展示では、アメリカ、イギリス、ドイツといった地域で学び、多様な文化背景を持つ8名のアーティストが参加。それぞれが表現する「回帰」とは、単なる故郷への帰省やノスタルジーではなく、記憶や制度にまで及ぶ深い探求の結果です。彼らの作品は、アートを通じて現在の日本のアートシーンや美術教育に対する批評的な視点を提供します。
展示作品とアーティストの多様性
参加アーティストは、以下の8名です。
1.
上野里紗 (Risa Ueno)
編み作家で数学や科学を通じて制作を行う。
2.
大竹紗央 (Sao Ohtake)
ニューヨーク拠点のインスタレーションアーティスト。
3.
奥村研太郎 (Kentaro Okumura)
地図や技術への問いかけを行うアーティスト。
4.
蔵内淡 (Dann Kurauchi)
様々なメディアを使用して活動。
5.
中岡尚子 (Hisako Nakaoka)
音を通じたコミュニケーションに関心を抱くアーティスト。
6.
富田ネオ (Neo Tomita)
彫刻を主な媒体として思想を探求する。
7.
増田麻耶 (Maya Erin Masuda)
サイボーグ・エコロジーに着目した作品を展開。
8.
ヨウシジン (Zijing Ye)
流動するアイデンティティをテーマに活動。
それぞれのアーティストは異なる手法や関心を持ち、展示では彼らの新たな視点を持ち寄ります。観衆は、彼らの作品を通じて、日本のアートの今を俯瞰し、再発見する機会を得ることができます。
多彩なイベントも予定
また、会期中にはアーティストやキュレーター、批評家を招いたトークイベントも開催予定です。例えば、8月23日には金沢21世紀美術館館長の鷲田めるろ氏を迎えた「キュレーションと観測」のイベントがあり、さらに8月30日には美術家・百瀬文氏による「アートのポリティクスを考える」セッションも計画されています。これらのイベントは、アートに関心のある方々にとって貴重な交流の場となるでしょう。
最後に
「回帰観測」は、若手アーティストたちの新たな表現と試みを目の当たりにし、アートを勉強している方々や愛好者にとって刺激的な体験になることを約束します。この機会にぜひ、九段下で彼らの作品をご覧になり、アートの現在地を感じ取ってみてください。入場は無料ですので、お気軽にお越しください。