STCW条約の改正案検討開始、海事業界の未来を見据えた取り組み

STCW条約の包括的見直しに向けた新たな一歩



2025年2月10日から14日まで、英国ロンドンで開催された国際海事機関(IMO)の第11回人的因子訓練当直小委員会(HTW 11)では、重要な議題が取り上げられました。今回の会合では、海員の教育訓練や資格証明に関するSTCW条約の見直しが進められ、具体的な改正案が検討されることとなりました。この条約は、海員の安全な業務遂行を確保するため、1978年から続く国際基準のもとで運用されています。

STCW条約の具体的な改正作業



会合での主な成果として、2023年に開始されたSTCW条約の包括的見直しに関する検討項目が選定され、約500項目が新たな改正作業として合意されました。これには「シミュレーター訓練の重要性」や「バラスト水処理装置への対応能力基準」などが含まれ、今後はこれらを基に具体的な改正案を各国が次回会合に提出することが求められています。また、2031年または2032年を目標に改正条約案を採択するための新しいロードマップも策定されました。

新技術導入に向けたガイドラインの策定



加えて、海運業界の脱炭素化を目指して、アンモニアや新しい燃料電池技術を用いる船舶の乗組員に対するガイドラインが策定されることになりました。会合では、全ての代替燃料や新技術を保障する共通ガイドラインと、個別の要件を定めるガイドラインの両方が初めて提案され、その内容が最終化されました。このガイドラインは、今後の海上安全委員会(MSC)で承認手続きが行われる予定です。

国土交通省によると、今後の取り組みは海運業界の未来に大きく寄与するものと期待されています。海員の教育訓練の質向上や、国際的な競争力の強化を図ることで、安全かつ効率的な海運の実現が目指されています。

これらの取り組みは、国際基準に従った船舶運営において、より高い安全性と環境配慮を促進するための第一歩となります。海運業界全体が新たなニーズに応えるために、自身の専門性を高める必要性が増している中で、継続的な教育や訓練の重要性がますます高まっています。

今後の動向に注目し、海運業界が新しいチャレンジを乗り越えていくことを期待しています。

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