トリーナ・ソーラー、太陽電池セル変換効率で世界新記録樹立!
中国を拠点とする太陽光発電システム大手、トリナ・ソーラーが、太陽電池セルの変換効率において世界記録を達成しました。ドイツの独立系研究機関ISFH CalTeCによる検査で、N型i-TOPConセルが25.9%という驚異的な変換効率を記録。これはトリナ・ソーラーにとって実に27回もの世界記録更新となります。
今回の記録達成は、同社が推進する「210×182 mm²」という黄金比デザインを採用したセルによるもの。高効率化を実現する数々の技術革新が盛り込まれています。具体的には、少数キャリア寿命が長いN型リン添加単結晶シリコンウエハーを使用。さらに、トンネル酸化物パッシベーションコンタクト、ホウ素ドープエミッタ、光トラッピング、高精細電極印刷技術といった最先端技術を融合させることで、量産仕様のN型i-TOPCon両面受光セルの変換効率25.9%という驚異的な数値を達成しました。
各技術の解説
少数キャリア寿命が長いN型リン添加単結晶シリコンウエハー:
N型シリコンは、電子が多数キャリアでホールが少数キャリアです。少数キャリアの寿命が長いほど、発電効率が高まります。
トンネル酸化物パッシベーションコンタクト:
シリコン表面に非常に薄い酸化層を形成し、電子が通過しやすくすることで、効率的な電流発生を可能にしています。
ホウ素ドープエミッタ:
シリコンにホウ素を加えることでP型の電気的特性を持たせ、電流の流れを制御することで発電効率の向上に貢献します。
光トラッピング:
シリコン内部で光を効果的に閉じ込めることで、光をより効率的に利用し、発電量を増大させます。
高精細電極印刷技術:
精密な電極印刷により、光の吸収を妨げることなく、電気抵抗を低減し、効率的な電流を取り出せます。
トリーナ・ソーラー副社長のコメント
トリナ・ソーラーの副社長である陳奕峰博士は、今回の成果について、「研究チームの素晴らしい成果を発表できることを嬉しく思います。この記録は、量産仕様TOPConセルの新記録であり、2017年からフラウンホーファーISEによって維持されてきたN型TOPConセルの世界記録を更新しました。TOPCon技術は現在の太陽光発電業界でデファクトスタンダードとなりつつあり、成熟したサプライチェーン、優れた顧客価値、そして低コストを実現する技術です。今回の成果は、TOPCon技術のさらなる可能性を示しています。」とコメントしています。
トリーナ・ソーラーについて
トリナ・ソーラーは、1997年設立の太陽光発電およびスマートエネルギーのトータルソリューションを提供するグローバルリーダーです。世界170ヶ国以上で事業を展開し、「新しい産業エコシステムを創造し、太陽光発電を中心としたスマートエネルギーソリューションの先駆けになる」という戦略目標を掲げています。日本においては、2010年にトリナ・ソーラー・ジャパンを設立し、国内市場に貢献しています。
まとめ
トリナ・ソーラーの今回の世界記録更新は、太陽光発電技術の進化を示す大きな一歩と言えるでしょう。今後、ますます高効率化が進むことで、再生可能エネルギーの普及が加速し、持続可能な社会の実現に貢献することが期待されます。