オーラルフレイルと抑うつ傾向の関連性
過去の研究により、口腔機能の低下が高齢者の健康に悪影響を及ぼすことが示されてきましたが、最近発表された研究では、“オーラルフレイル”が抑うつ傾向の発症リスクを高めることが明らかになりました。この研究は、千葉県柏市で実施された「柏スタディ」に基づいています。
オーラルフレイルとは?
オーラルフレイルは、歯を失ったり、食べ物をかむ能力や話す能力が軽微に衰える状態を指します。2024年に発表された「オーラルフレイルに関する3学会合同ステートメント」では、これは進行する口腔機能の低下を示すものであり、早期に対策することが可能であると説明されています。
研究の背景と目的
この研究の目的は、オーラルフレイルが抑うつ傾向のリスクをどう影響するかを調査することでした。高齢者は身体機能の変化により精神的な不調を抱えやすいため、オーラルフレイルと抑うつの関連性を明らかにすることが求められていました。
研究方法
研究は、2012年から6年間にわたり、抑うつ傾向がみられない高齢者1,356名を対象に行われました。オーラルフレイルの有無を判定するために、5つの問診項目(OF-5)が使用され、その後のフォローアップで抑うつ傾向の発症を観察しました。
研究結果の概要
調査の開始時点で、オーラルフレイルの有症率は35%でした。また、6年間の追跡調査によって、新たに18%の参加者が抑うつ傾向を示しました。特に、オーラルフレイルを持つ人々では、抑うつ傾向の発症リスクが高まり(ハザード比1.53)、固い物が食べにくい、または飲み物でむせるという症状を抱えている人は更にリスクが増加することが判明しました。
結論と今後の展望
この研究から、オーラルフレイルが抑うつ傾向の予測因子であることが示されました。口腔機能の低下は、抑うつリスクを高めるため、早期の認識と対策が不可欠です。サンスターは、オーラルフレイルの認知を広めるための啓発活動を続けていく方針です。今後は、オーラルケアを通じて、高齢者の生活の質を向上させることが期待されます。
医療従事者へのメッセージ
東京大学の飯島勝矢氏は、オーラルフレイルが抑うつ傾向のリスク因子として機能すれば、高齢者自身だけでなく、その周囲の人々にとっても重要な意義があると述べています。また、簡単な問診で抑うつ傾向を判定できることは、医療現場で患者への適切な支援に役立つでしょう。
サンスターグループについて
サンスターグループは、オーラルケア製品や健康食品、化粧品などを扱い、全身の健康を目的とした情報やサービスを届けていく企業です。100年の人生を見据え、健康寿命の延伸を目指して、アプローチを続けています。