有松絞りとデジタルファブリケーションの融合
愛知県名古屋市の有松町・鳴海町で継承されてきた伝統工芸、有松絞り。この美しい木綿絞りは、江戸時代初期に始まり、さまざまな模様を描き出すことができます。その軽やかなデザインは、手ぬぐいや浴衣地として人気を集め、現在では全国一の絞り染め産地として知られています。しかし、近年のこの職人技を担う後継者不足が深刻な問題となっており、有松絞りも避けられない状況にあります。
有松絞りの現状
有松絞りの製造過程では、一番難易度の高い「絞り加工」の技術が求められます。この特別な技術を使った絞り模様は、職人の技巧に依存しているため、後継者がおらず、技術が途絶えてしまう危険性があります。このような状況を踏まえ、株式会社matomatoはデジタルファブリケーションを利用した新たな継承の道を模索し始めました。
デジタル技術による新たな試み
今回、matomatoが手がけたプロジェクトは、有松絞りの凹凸を再現したテーブルの制作です。この取り組みでは、3Dスキャンを用いて有松絞りの表面模様をデジタル化し、そのデータを基にレーザーカッターで木材に凹凸を施しました。これにより、伝統技術をデジタルによって可視化し、新たな形で表現することが実現したのです。なお、プロジェクトには池本しょうこ氏と田住梓氏が関わり、山上商店から素材が提供されました。
完成したテーブルの特徴
テーブルとしての実用性も考慮し、凹凸を滑らかにする工夫が施されています。数多くの試作品を経て完成したこのテーブルは、凹凸の美しさが際立ち、視覚的にも手触り的にも楽しませてくれる作品となりました。その表面は、思わず撫でたくなるような独特の感触を持ち、使う人に喜びを提供します。
実際に体験できる場所
このテーブルは、愛知県の「セブンストーリーズ(SEVEN STORIES)」という宿泊施設の6階、有松をテーマにした部屋に展示されています。ここでは、7組の建築家がそれぞれ手掛けたデザインが楽しめ、高いデザイン性が融合した空間を味わうことができます。
公式サイト:
セブンストーリーズ
未来に向けた取り組み
今回の制作を通じて、伝統工芸品の素晴らしさを再認識しました。今後は、3Dスキャンや3Dプリントを活用し、デジタルアーカイブ化を進めていく考えです。この取り組みにより、有松絞りを含む日本の伝統工芸品の価値を後世に伝え、地域の文化を守る活動が引き続き行なわれます。
問い合わせ
具体的な制作内容や今後の活動についてのお問い合わせは、以下までご連絡ください。
株式会社matomato
〒451-0042 名古屋市西区那古野2丁目14-1 なごのキャンパス
担当:松田
TEL:080-3683-4623
Email:
[email protected]
公式ウェブサイト
この新しい試みが、伝統工芸の未来にどのように寄与するのか、私たちも注目していきたいと思います。