腸内ホルモンの役割
2025-01-13 21:32:20

腸内分泌ホルモンがタンパク質摂取をコントロールするメカニズムの解明

国立大学法人岡山大学が発表した研究によると、生物には特定の栄養素、特にタンパク質の過剰摂取を防ぐためのシステムが内蔵されていることがわかりました。この研究は群馬大学、筑波大学、岡山大学の共同によって行われました。研究の中心となったモデル生物は、キイロショウジョウバエです。

近年、過剰なタンパク質摂取が健康に与える影響が多く取り沙汰されています。そこで、群馬大学生体調節研究所の吉成祐人助教と西村隆史教授、筑波大学の丹羽隆介教授、岡山大学の吉井大志教授らのチームは、腸内分泌細胞がどのようにこの過剰摂取を防いでいるのか、そのメカニズムを探求しました。

彼らは、キイロショウジョウバエの腸内分泌細胞の一部が、高タンパク質食に反応することを確認しました。この細胞はCCHa1というホルモンを分泌し、摂取量を調整する役割を果たしていることが明らかになりました。具体的には、CCHa1は腸に伸びる神経に作用し、その情報を味覚神経に伝達することで、タンパク質の過剰摂取を抑止します。

さらに、CCHa1の信号が正常に働かない場合、キイロショウジョウバエは高タンパク質食を過剰に摂取し、有害なアンモニアを体内に蓄積することが分かりました。この研究は、腸内分泌ホルモンの摂食嗜好性における重要な役割を示しており、今後の新しい治療法の開発に向けての基盤となるかもしれません。

また、この研究は2024年12月30日に英国の科学誌「Nature Communications」に発表され、広く注目を集めています。研究チームは、腸内のホルモンが摂食障害や偏食の治療において重要なターゲットになる可能性があると期待しています。腸内分泌ホルモンを利用した新たな治療法が実現すれば、多くの人々の栄養管理や健康促進に寄与することが期待されます。

研究の詳細や背景については、岡山大学の公式サイトや発表された論文で確認できるので、興味のある方はぜひご覧ください。


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会社情報

会社名
国立大学法人岡山大学
住所
岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス本部棟
電話番号
086-252-1111

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