2025年エネルギー市場の動向とフレート産業の変化について

2025年エネルギー市場の動向とフレート産業の変化

2025年のエネルギーおよびフレート市場は、供給過剰と供給制約が同時に進行したことで著しい構造変化を見せました。この年の市場環境を探るため、Vortexaの最新のレポートから重要なトピックスを取り上げます。

海上原油在庫の急増

2025年後半、海上原油およびコンデンセートの在庫が大幅に増加しました。この背景には、主にロシアの大手石油企業、ルクオイルとロスネフチに対する米国およびEUの厳しい制裁があります。これにより、荷揚げの遅れや航路の長期化がもたらされ、海上に滞留する原油量が増えました。また、北中南米からアジアに向かう原油フローが拡大したことも要因の一つです。

複雑化するロシア産原油の供給網

制裁の影響を受け、ロシア産原油の供給網はますます複雑になりました。航海日数が長くなった結果、船舶の不足が深刻化し、2025年11月の輸出量は前月に比べて減少しました。しかし、今後中間業者を介した新たな取引が行われることで、輸出フローが一部回復する可能性も期待されています。

中国とインドの調達構造の変化

中国では、国有企業がロシア産原油から距離を置く傾向が強まっており、ラテンアメリカ産へとシフトしつつあります。一方、インドはロシア産原油の到着量が一時的に減少したため、2025年12月期の上半期の輸入が鈍化しました。しかし、割引価格を背景に数ヶ月内にロシア産原油の到着量が再び増加する見込みです。

アメリカ大陸の原油輸出の成長

2025年、アメリカ大陸からの海上原油輸出は引き続き成長を遂げています。特にブラジルやガイアナ、アルゼンチンがこの成長をけん引しており、2026年に新規プロジェクトが稼働することでさらなる輸出の増加が期待されています。

イランの原油輸出

イランについては、制裁が強化されても原油の輸出が劇的に減少したわけではありません。実際には物流の摩擦が増加し、海上原油の量は高水準で維持されています。このことは、供給の減少を反映するのではなく、供給網の複雑性を浮き彫りにしています。

原油フレート市場の回復

今年は混乱と高い輸出量の影響を受けて原油フレート市場が回復しました。特にVLCC（Very Large Crude Carrier）を中心に運賃は著しく上昇していますが、この高水準は供給制約やダークフリートの影響、さらには荷揚げの遅延といった非効率性によって支えられているため、2026年に向けた持続性には疑問が残ります。