マーサーCFA協会グローバル年金指数2024の発表
マーシュ・マクレナンの一部であるマーサーとCFA協会は、2024年度のマーサーCFA協会グローバル年金指数の結果を発表しました。この指数は世界の各国の年金制度を評価し、持続可能で充実した年金給付を確保するための指針を示しています。
本年度のランキングでは、オランダが最高評価を受け、引き続き前年に続いて1位となりました。オランダの年金制度は、DB(確定給付)方式からDC(確定拠出)方式へと移行し、規制面でも充実していることから高い評価を得ています。続いて、アイスランドが2位、デンマークが3位となり、北欧諸国が強力な年金制度を維持していることが分かりました。
アジアでは、シンガポールがトップの座を守りつつも、2024年には他の国々と比較して順位を引き上げ、7位から5位に上昇しました。マーサーの社長兼CEO、Pat Tomlinson氏は、「出生率の低下と平均余命の伸びが退職所得制度の役割を以前にも増して重要にしている」と説明しています。
年金制度の多様化と個別化の必要性
近年、確定給付型(DB)から確定拠出型(DC)への移行が進んでおり、これにともなってファイナンシャルプランニングの必要性が高まっています。CFA協会の会長、Margaret Franklin氏は「DC制度によって個々の財務状況が大きく影響されるため、複雑なファイナンシャルプランの決定が求められる」と警鐘を鳴らしました。
このような状況の中、退職者や今後の退職者に対する適切なアドバイスを提供するため、ファイナンシャルアドバイザーの重要性も再認識されています。特に、長命化が進む現代においては、退職後も働く選択肢が重要視されており、DC制度がその実現に向けた柔軟性を提供しています。
日本における年金制度の課題
日本でもDB制度からDC制度への移行が進んでいますが、現時点ではDC制度の普及率は依然として低いとされています。これは、私的年金資産が比較的少ないことや、DC制度の拠出枠が小さいこと、また従業員が運用リスクを回避する傾向にあることが影響しています。マーサーのシニアコンサルタント、漆山綾香氏は、「企業型DC制度にて金融リテラシーを向上させることが、将来的な資産形成に寄与する」と述べています。
総合指数の詳細
マーサーCFA協会グローバル年金指数は、各制度の「十分性」、「持続性」、「健全性」といった主要な指標を基に評価されます。総合指数ではオランダが84.8点で首位、アイスランドが83.4点、デンマークが81.6点を獲得しました。また、今年新たに加わったベトナムはアジアで6位に登場し、注目を集めています。このような評価は、各国における年金制度の改善を求める声が一層強まっていることを示しています。
結論
長寿社会において年金制度が果たす役割はますます重要になっており、制度の改革が急務となっています。政府や年金業界、雇用主が協力し、退職者が性差なく尊厳を持って生きられる社会の実現に向けて、今こそ新たなアプローチが求められています。マーサーとCFA協会の取り組みがこれらの改革を後押しすることを期待しましょう。
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