地震発生時の被害情報をリアルタイム配信する新実験の開始

地震発生時の被害情報をリアルタイムで配信する新たな取り組み



地震は日本において頻繁に発生する自然災害の一つであり、事前の準備や迅速な情報共有が被害を最小限に抑えるために重要です。そんな中、日本防災産業会議が新たな取り組みを始めました。この取り組みは、地震が発生した際に、会員企業やそのグループ会社の各拠点における震度や建物の被害推定情報を、ほぼリアルタイムで配信するものです。

新しい配信実験の背景と目的



この配信実験は、日本の国立研究開発法人防災科学技術研究所が提供する技術に基づいており、内閣府が主導する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の一部として行われます。特に「レジリエント防災・減災機能の強化」に関する研究成果を生かし、地震が発生したときの情報共有を迅速に行うことを目的としています。この取り組みにより、企業が地震による被害を把握し、適切な事業継続計画(BCP)を立案・実施することが可能になります。

実験がもたらす利点



この実験に参加する企業は、地震発生からわずか10~15分後に、各拠点の地震被害推定情報をリアルタイムで受け取ることができます。この情報はREIC(リアルタイム地震・防災情報利用協議会)のサーバーからメールで提供され、企業が迅速に被害を把握し、必要な対策を講じるための貴重なデータとなります。

また、防災産業会議は、REICとの情報配信委託契約を結んでおり、これによりより多くの企業との災害情報共有を推進しています。具体的には、鹿島建設株式会社が開発したソフトウエアシステムを活用し、参加企業の登録拠点ごとに構造被害判定や被害発生確率、推定震度などをわかりやすくリスト表示する仕組みの導入も進めています。

初期の配信先と今後の展開



初めての配信先となる企業には、鹿島建設や大和リース、能美防災などの5社が選ばれました。今後は、防災産業会議の他の会員企業にもこの情報配信の利活用を促し、さらに部材提供業者などのサプライチェーン協力企業の拠点登録も進めていく予定です。また、地震だけでなく、大雨や強風、土砂災害などのリスク情報も配信することを目指しています。

ハザード・リスク実験コンソーシアムの意義



この取り組みは、「ハザード・リスク実験コンソーシアム」の一環として行われており、2017年に設立されたこのコンソーシアムは、民間企業や自治体との連携を強化し、防災に関する情報を広く共有することを目的としています。現時点で30の参加機関がこの活動に関与しており、防災科研が提供する地震観測データをもとに、250メートルメッシュ単位での被害推定情報を配信します。

結論



この新たな取り組みは、防災産業にとって革命的な進展と言えるでしょう。企業が地震発生時に迅速に行動できる体制を整えることができれば、被害の軽減に大きく寄与することが期待されています。今後もこのような情報配信の仕組みが普及し、さらなる防災対策が進むことを願うばかりです。

会社情報

会社名
株式会社日刊工業新聞社
住所
東京都中央区日本橋小網町14-1
電話番号
03-5644-7000

トピックス(地域情報)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。