俳人・黛まどかが描く四国遍路の深淵
2025年1月17日、著名な俳人である黛まどかさんの新刊『私の同行二人 人生の四国遍路』が新潮新書からリリースされました。この本は、彼女自身の旅の記録と、そこでの出会いや別れ、そして人生についての深い思索を綴った作品です。
歩み続ける意味
黛さんは長年にわたり、「歩きながら詠む」「歩きながら書く」ことをモットーにしてきました。彼女はこれまで、スペインのサンティアゴ巡礼道を800キロ、韓国のプサンからソウルまでの500キロ、さらには四国冒険へと、数多くの旅を重ねてきましたが、今回は特に四国88札所に別格20か寺を加えた108か寺・1600キロの旅を歩いています。
彼女の言葉を借りれば、"歩くことが哲学であり、人生における問いを探し続ける行為"なのです。著書には、連日の酷暑や土砂降りの雨、雪が降る中での歩行、さらには転倒や道迷いといった厳しい状況でも絶えず前進する彼女の姿が描かれています。
目次を辿る旅
本書の目次からは、黛さんの心の旅がふんだんに表わされています。彼女が感じた「お遍路」という場所の意味、人生の織物のように絡まった体験、そして「歩き遍路」が抱える重荷について考察します。また、自然や宇宙とつながる感覚を大切にしながら、心の内側に潜む真実を見つめる視点も示されています。
特に印象に残るのは、二度目の遍路の旅における「同行二人」というテーマです。彼女の言葉を通じて、悲しみや喜び、人生という道程を分かち合う人たちとの関わりが大切に綴られています。読者は、彼女の豊かな内面的な旅路に共感し、各章に散りばめられた俳句からも深い思索を得ることができるでしょう。
自然との対話
「発心の阿波」から「涅槃の讃岐」へと続くその旅路では、体験する自然の美しさも見逃せません。彼女が感じる四国の風景や季節の移ろいは、心の平穏と新たな気づきをもたらします。「今日はこの道を歩こう。」そんなシンプルな選択の中に、さまざまな人生の問いが隠されているというのが、黛さんの魅力であり、彼女が精神を磨く場所でもあります。
書くことと歩くことの関係
黛さんは本書のプロローグで、「書くことと歩くことは似ている」と語ります。つまり、歩くことは新しい思考の糸を辿る行為であり、書くことによってそれが形になり、表現されるというのです。歩きながらインスピレーションを受け、思索を重ねる過程が、彼女の文学における核となっています。読者はその旅を通じて、彼女の歩みを共感し、自己を見つめ直すきっかけを得ることができるでしょう。
結論
本書『私の同行二人 人生の四国遍路』は単なる旅行記ではなく、生きることの意義を問う哲学的な作品です。黛まどかさんの独自の視点で描かれた遍路の旅は、私たちにとっても印象深い問いを投げかけてきます。この本を手に取ることで、あなたも黛さんとともに、自らの人生の旅を考える機会を得ることでしょう。
新潮新書から発売となるこの一冊は、今後の彼女の歩みや考えを知る貴重な資料となることでしょう。