廃プラスチックを農業に生かす挑戦
近年、環境問題への関心が高まる中、廃プラスチックのリサイクルやその利用法についての新たな取り組みが進められています。その中で、農業分野における廃プラスチックの活用が注目を集めています。特に、農業法人「mino-lio」と「カネコ種苗」が推進する共同プロジェクトは、その一環として期待されています。
この取り組みは、GNグループ、六洋電気株式会社、赤尾商事株式会社の協力のもとで実現しました。その目的は、廃プラスチックを熱分解し得られた油をいちご栽培に使用することで、農業の持続可能性を高めることです。
プロジェクトの流れ
このプロジェクトでは、まず六洋電気が廃プラスチックを高温で処理し、油化および蒸留を行います。これにより生成された灯油質は、赤尾商事によって群馬県の「ぐるりいちご農園」へと運搬されます。最終的に、mino-lioがこの油をいちご栽培に利用するという流れです。
この廃プラスチック熱分解油は、環境に優しいカーボンオフセット商品であり、1リットル当たりのカーボンオフセット量は2.17kg-CO₂にもなります。これにより、廃プラスチックのリサイクルは、農業の温室効果ガス削減にも寄与することが期待されています。
具体的な取り組み
minnloが運営する「ぐるりいちご農園」では、これまでも使用済みのエンジンオイルを暖房燃料として利用してきました。これにより、廃油を再生重油に転換し、光合成促進装置や培地加温システムに活用しています。しかし、今後はこの燃料を廃プラスチック由来の灯油質に100%置き換え、より一層の脱炭素化を目指す方針です。
さらに、スコープ2に関しては、再生可能エネルギーに基づく電力契約をこの秋からスタートする予定です。このようにして、カーボンフリーな農業スキームの構築に向けた取り組みが進められています。
期待される成果
本プロジェクトは、農業界における二酸化炭素の削減に向けて汎用性がある取り組みとして非常に意義深いものです。また、群馬県が掲げる「ぐんま5つのゼロ宣言」、特に「プラスチックごみゼロ」の推進にも貢献できるものであると考えられています。そのため、このプロジェクトが今後どのように発展し、持続可能な農業の実現に寄与するのか、引き続き注目していく必要があります。
今回の取り組みは、廃プラスチックの有効利用と同時に、農業の資源循環型経営のモデルを示すものとして、業界全体に影響を与える可能性があります。各社のさらなる研究と協力が、持続可能な未来を切り開く手助けとなるでしょう。