アイ工務店が発表した耐震性能実験の意義
アイ工務店は、2024年に京都大学および奈良女子大学と共同で実施した耐震性能に関する重要な研究成果を、日本建築学会にて発表しました。この研究では、外張り断熱工法を取り入れた耐震等級3相当の木造住宅が対象となり、高い耐震性能を実証しました。学会発表は2025年9月10日から12日に九州大学伊都キャンパスで行われ、学術的に信頼性の高い結果が報告されました。
耐震性能実験の背景
近年、頻発する大地震や、機能的な省エネ住宅のニーズが高まり、木造住宅には「高い耐震性能」と「高い断熱性能」が同時に求められています。外張り断熱工法は、高い断熱性と気密性を確保しながら、耐震性も向上させると注目されており、これに制震ダンパーを組み合わせることで、地震発生時の揺れを軽減できる可能性が期待されています。
本研究では、これらの特長を持つ木造住宅に対して、実大振動台試験を行い、その耐震性能を評価しました。
実験内容と結果
実験は、極大地震を複数回入力する形で行われ、震度7相当の強震を連続して加えました。結果として、建物は安全基準を満たし続け、具体的には以下のことが示されました:
- - 震度7相当の揺れを3回受けても、安全限界以下を維持
- - 被害レベルは「小破」にとどまり、建物は継続使用が可能と判定されました
- - 制震ダンパーを取り外した後も、一定の耐震性が保持されることが確認されました
- - 外張り断熱による構造補強効果が証明され、耐震性能に「余力」が生まれることが示されました
試験体は、在来軸組工法に基づく木造2階建て住宅で、試験場所は土木研究所の大型振動台です。試験に使用した地震動は、建築基準法告示波などの実際のデータが基になっています。
学会発表の意義
今回の発表で明らかになったのは、高断熱・高気密と高い耐震性能が両立できるということです。これまで、住宅設計においてスキップフロアや外張り断熱を採用する際に耐震性への影響が懸念されていましたが、本研究がその懸念を打破しました。適切な設計と施工により、地震からの安全性を確保できることが示されています。これは今後、木造住宅の「安全性と快適性」の両立を可能にする重要な知見です。
さらにアイ工務店は、この研究をきっかけに大学や研究機関との連携を深めつつ、「安心・安全・快適」な住宅の実現に向けて、耐震・省エネ性能を兼ね備えた住宅の提供を推進していく意向です。
第2回実大耐震性能実験の予定
続けて、2025年にも実大耐震性能実験が予定されています。この試験も京都大学および奈良女子大学の監修の下で行われる予定であり、スキップフロアを取り入れた木造住宅の耐震性能が再検証されます。
アイ工務店は、これまでに46都道府県に展示場を拡大し、全国において安心して住まえる住宅の提供に努めてきました。今後の取り組みにも大きな期待が寄せられています。 詳細な情報は、アイ工務店の公式サイトをご覧ください。