大阪市「いまざとライナー(BRT)」社会実験、5年目の検証結果発表!さらなる需要喚起へ2年延長
大阪市「いまざとライナー(BRT)」社会実験、5年目の検証結果発表!さらなる需要喚起へ2年延長
大阪市は、平成31年4月1日から大阪市高速電気軌道株式会社(Osaka Metro)と共同で社会実験中の「いまざとライナー(BRT)」について、実験開始5年目の効果検証結果を発表しました。
今回の検証では、利用状況やアンケート調査結果、費用便益分析などをまとめ、BRTの現状と課題が明らかになりました。
利用状況は増加傾向も、課題も浮上
平日の利用者数は、令和5年9月までは前年度を上回る状況が続き、1日約3,700人となりました。しかし、ダイヤ改正後の10月以降は、前年同月比で約16~19%減少、12月時点では約3,000人となっています。
一方で、1便あたりの利用者数は増加しており、令和5年12月時点で21.3人と、9月時点の19.6人を上回っています。
土曜日・休日の利用者数は、令和4年度と同水準となっています。
アンケート調査から見えてきた利用者の声
社会実験開始1年目、3年目、5年目のアンケート調査結果を比較した結果、いくつかの興味深いデータが明らかになりました。
まず、利用者の年齢層は、平日、休日ともに60歳以上が最も多いことが分かりました。また、沿線住民の利用が全体の約6~7割を占めているようです。
いまざとライナーの運行開始前に同じ目的地への移動手段がなかった人が約50%と、新規需要の創出に貢献していることが分かりました。しかし、同時に、他の交通手段からの転換も約49%見られ、そのうち約65%がバスからの転換となっています。
利用理由として、「移動時間が短い」を選択した人が約50%と最も多く、バスとの比較では「時間が短縮できる」という点が大きな魅力となっているようです。
需要喚起策の取り組みと効果
大阪市では、沿線施設との連携による需要喚起策を積極的に展開しています。長居植物園やレッドハリケーンズ大阪、セレッソ大阪などとのタイアップ企画や、区民まつりでのPR活動などを実施しています。
これらの取り組みの結果、沿線住民の約90%、企業・学校の約60%がいまざとライナーを認知するようになりました。
しかし、コロナ禍の影響もあり、利用者の大幅な増加には至っていません。
今後の展望:社会実験延長と更なる取り組み
現状の運行計画では、将来予測通りに利用者数が増加しても、年間1.2~1.8億円程度の赤字が見込まれることから、大阪市では、さらなる需要喚起と運行計画の見直しが必要と判断し、社会実験を2年程度延長することを決定しました。
今後、沿線施設との連携強化による需要喚起、運賃収入以外の収入確保、BRTと路線バスの実態に即した運行計画の検討、路線バスとの一体的運営による運行コスト削減などの取り組みを推進していく予定です。
いまざとライナーの未来:課題克服し、地域に根付く交通手段へ
いまざとライナーは、沿線住民を中心に利用が定着し、新規需要の創出や沿線活性化に一定の成果を収めています。
しかし、収支面や需要喚起、運行計画など、克服すべき課題も多く存在します。大阪市は、これらの課題を克服し、いまざとライナーを地域に根付く、より魅力的な交通手段へと進化させていくために、さらなる努力を続けていく必要があります。