超伝導メカニズム解明に挑む
国立大学法人東北大学と富士通株式会社が協力し、因果発見AI技術を駆使して超伝導現象の理解を深める研究を進めています。このプロジェクトでは、3GeVの高輝度放射光施設である「NanoTerasu(ナノテラス)」を利用し、カゴメ格子超伝導材料の特性を解明することを目指しています。
研究の背景と目的
「ナノテラス」は、世界でも最高水準の分析能力を備えた次世代放射光施設で、2024年から運用が開始されました。この施設は、ナノメートル単位の精度で材料の特性を調査することができ、新しい機能性材料の発見につながることが期待されています。両者は、データからAIを活用して課題を抽出し、社会課題の解決を目指しています。
因果発見技術とは?
今回、両者が開発した因果発見技術は、実験データを基に因果関係を自動的に抽出するもので、特に複雑なデータセットの中から有意義な情報を効率的に取り出すことが可能です。従来の手法に比べて、データ量が増加する中で重要な知見を見逃さないことが求められる現代の研究分野においては、このような技術の重要性が増しています。
カゴメ格子超伝導材料の特徴
カゴメ格子超伝導材料は、竹籠のような構造で原子が配列する特異な結晶形態を持ち、超伝導が電子の相互作用だけで説明できない可能性があるとされています。本研究では、超伝導現象のメカニズムに関する新たな因果関係をAIが自動抽出し、これまでの理解を更新することに成功しました。
期待される成果とその影響
富士通は、2026年3月からこの新技術のトライアル環境を提供し、今後は多岐にわたる材料研究や技術開発に応用していくとしています。この技術の普及が進むことで、環境問題や医療分野、電子デバイス産業など多くの領域で革新的な成果が期待されます。
まとめ
東北大学と富士通の共同研究により、因果発見AIを利用した新しい物質の発見が加速されています。この研究は、次世代の超伝導材料や新機能を持つ材料の開発に向けた大きな一歩となり、社会的にも注目される成果となるでしょう。