GIGAスクール端末の安全処分を求める実態調査結果報告
一般社団法人児童生徒のデータプライバシー協会が、全国の教育委員会を対象に実施した「GIGAスクール端末処分に関する実態調査」の結果を発表しました。この調査は、今後増加する見込みのGIGA端末の処分件数に伴い、データ消去が適切に行われないケースが懸念される中、実施されました。調査により明らかになった情報堆積のリスクや、データ消去方法の実態について、以下に詳述します。
調査背景
GIGAスクール構想に基づいて導入された端末は、今後の教育現場において不可欠な役割を果たしています。しかし、これら端末の処分やデータ消去が適切に行われない場合、生徒の個人情報が漏洩する危険性が高まります。教育委員会の判断や実施体制が各自治体によって異なるため、その現状を把握することが必要です。調査の結果は、データ消去方法の不十分さやコストの課題を浮き彫りにしました。
調査結果の概要
TOPIC1: データ消去方法
調査の結果、回答を寄せた教育委員会の約4分の1が、適切とは言えない手法(初期化や磁気消去)を用いてデータ消去を実施しています。特に注目すべきは、最も安全とされる専用ソフトウェアを利用した適切なデータ消去が行えているのは、わずか12.5%の教育委員会に過ぎないという事実です。この現状は、データ消去が適切に実施されない危険性を増加させています。特に、初期化やリセットだけでは、確実にデータが消去されたと証明する手段がなく、実際には端末内にデータが残存している可能性もあります。
TOPIC2: データ消去履行確認方法
さらに、データ消去作業の履行を確認するためのログを取れない方法を検討している教育委員会が、全体の3分の1を占めています。これは大量の端末を処理する際に、作業漏れのリスクが高まることを意味します。文部科学省が改訂した教育情報セキュリティポリシーにより、データ消去には専用ソフトウェアの使用を推奨されていますが、実態としてはそれに応じた対応が進んでいないのが実情です。
TOPIC3: データ消去費用
データ消去作業を委託するための予算を確保している教育委員会は、全体の3分の1以下という厳しい現実が明らかになりました。ルールに基づいた適切なデータ消去を実施するには、外部委託の必要性が高まります。予算確保の問題から、適正に処分が行われない可能性も考えられ、それが結果として学生のデータ漏洩を引き起こすリスクに繋がることが懸念されています。
結論
調査結果は、全国における教育委員会でのGIGAスクール端末処分に関する意識の差が浮き彫りとなりました。データ消去が適正に行われないままの処分が進むことは、データプライバシーの侵害という大きな懸念を生むのみならず、保護者や子どもたちの信頼を失う行為になる可能性があります。全自治体が資格と責任を持って処分業者を選定し、安全なデータ消去が実施できるよう、予算の確保や適切な対応の検討が急務です。GIGAスクール端末の処分に向けて、今一度、データプライバシー保護の重要性を見直す必要があります。これを機に、正しい知識と認識を持って、最高のデジタル教育環境を整えていくことが求められています。