ゼロゼロ融資後倒産が続出、経済危機の影響が深刻化
帝国データバンクの最新の調査によると、2025年の上半期において、政府系および民間金融機関から提供された実質無利子・無担保融資(通称、ゼロゼロ融資)を受けていた企業が倒産した件数が316件に達することが明らかになりました。これは、前年同期の391件よりも75件の減少を示しましたが、過去3年連続で300件を超える結果となっています。
2020年7月にゼロゼロ融資を受けていた企業の倒産が初めて確認されて以来、累計2272件という数字にまで膨れ上がっている状況です。こうした背景には、物価の高騰や人手不足といった厳しい経営リスクが存在し、経済環境は依然として厳しさを増しています。
業種別の倒産分析
2025年上半期の倒産を業種別に見ると、最も多くの件数を数えたのは「小売業」で66件でした。次いで「建設業」62件、「製造業」60件と続きます。「小売業」の中でも、特に飲食店は31件、飲食料品の小売が14件と、飲食関連の倒産が目立っています。製造業では食料品や飲料の製造業者が特に影響を受けているようです。
このような傾向は、業種ごとの経営環境に深く関わっています。物価の上昇が影響し、資金繰りが厳しい企業が相次ぎ、労働力の不足が企業の運営をさらに困難にしています。
負債額別の倒産動向
負債額に関しては、「1億円以上5億円未満」が142件(44.9%)と最も多く、次いで「5000万円未満」が86件(27.2%)という結果でした。特に、ゼロゼロ融資を受けていた企業が新たな資金調達を難しく感じている中で、過去の債務の返済が行き詰まるケースが目立っています。
支援策の影響と未来の見通し
中小企業政策審議会金融小委員会の発表によれば、2025年2月末時点での実質無利子・無担保融資の実績は約264万件、金額にして約45兆円に達しています。これにより2021年の倒産件数は6015件と歴史的な低水準を記録しましたが、それでもなお、支援によって業績が回復しない場合もあり、果たして倒産の先送りになっているかのように映る企業も少なくありません。
さらに、日本銀行が政策金利を上げたことにより、経済環境が大きく変わる可能性があります。市場金利が上昇し、今後の借入金利の高騰が予想される中で、企業は再び厳しい資金繰りに直面することになるでしょう。2023年に開始された「コロナ借換保証」は、2年以内の元本据置期間が大多数であり、その後の返済が始まる企業も存在します。物価高や人手不足、さらには価格転嫁の難しさが相まって、借入金の返済原資の確保に苦しむ企業が増えることでしょう。
このように、ゼロゼロ融資後倒産のリスクは今後も高水準で推移することが懸念されます。経済環境が改善されない限り、多くの企業が存続を脅かされる状況は続くとみられ、今後の動向に注目が集まります。