日本銀行が報告したデリバティブ市場の最新動向
2025年9月10日、日本銀行は「外国為替およびデリバティブに関する中央銀行サーベイ」の調査結果を公表しました。この調査は2025年6月末のデリバティブ取引残高についてのもので、日本国内の金融機関から収集したデータに基づいています。以下に、主な調査結果を詳しく解説します。
1. デリバティブ取引残高の概況
調査によると、日本の主要なデリバティブ・ディーラーによって行われた2025年6月末のデリバティブ取引残高は、想定元本ベースで合計89.4兆米ドルに達しました。これは、OTC(店頭取引)と取引所取引を合わせた数字であり、OTC取引が85.6兆米ドル、取引所取引が3.8兆米ドルという内訳です。
2. OTC取引の詳細
OTC取引の残高をさらに細分化すると、リスク・ファクター別の内訳は以下の通りです。
- - 金利関連取引: 73.8兆米ドル
- - 外為関連取引: 10.6兆米ドル
- - クレジット・デリバティブ取引: 0.9兆米ドル
(1) 通貨別の取引状況
金利関連取引を通貨別に見ると、
- - 米ドル: 26.8兆米ドル
- - 円: 24.3兆米ドル
- - ユーロ: 16.1兆米ドル
が取引されており、外為関連取引では、
- - 米ドル: 4.9兆米ドル
- - 円: 2.3兆米ドル
- - ユーロ: 1.2兆米ドル
と、米ドルが多数を占めていることが分かります。
(2) 取引相手先別の状況
OTC取引の取引相手先別に見ると、金利関連取引は、
- - 対報告対象金融機関(ディーラー間取引): 7.2兆米ドル
- - 対CCPの取引: 53.7兆米ドル
- - 対報告対象外金融機関(CCPを除く)の取引: 11.0兆米ドル
となっています。外為関連取引においても同様のパターンが見受けられ、ディーラー間取引は7.0兆米ドル、CCPの取引は0.4兆米ドルとなりました。
(3) 残存期間の内訳
OTC取引の残存期間を分析すると、
- - 金利関連取引: 5年超が21.6兆米ドル、1年超5年以内が27.3兆米ドル、1年以内が24.9兆米ドル
- - 外為関連取引: 5年超が0.9兆米ドル、1年超5年以内が2.5兆米ドル、1年以内が7.2兆米ドル
となっており、具体的な取引の償還期限が確認できました。
3. 調査結果の意義
これらのデータは、日本のデリバティブ市場が引き続き活発であることを示しています。特に、金利関連の取引が大部分を占めており、米ドルの取引が突出している点が注目されます。市場参加者には、今後の経済動向や政策動向を踏まえてリスク管理が求められます。さらに、これにより金融システムの安定性や、国際的な競争力がどのように影響されるかは、引き続き注視する必要があります。
結論
日本銀行のこの調査結果は、国内外の市場参加者にとって、デリバティブ取引の現状を理解するための貴重な指針となります。金融市場の需給や動向を把握し、適切な戦略を立てるために、これらのデータを活用していくことが重要です。また、今後の調査結果にも注目し、継続的に市場をモニタリングしていくことが求められます。