現在の転職状況と冬のボーナス
株式会社マイナビが発表した「2025年冬ボーナスと転職に関する調査」によれば、冬のボーナス支給後に転職を考えている正社員は半数に達し、賞与が転職に与える影響が浮き彫りになりました。この調査は、20〜59歳の正社員を対象に行われ、前月に転職活動を行ったか、今後3ヶ月で予定している方々から得た情報です。
冬ボーナスの支給後に転職する理由
調査結果によると、転職を考えている正社員の51.4%が「今年の冬ボーナスをもらってから転職する予定」と答えています。特に20代の回答者の62%がこの意向を示しており、企業にとって賞与支給は離職リスクが高まる季節であることが示唆されています。
また、43.6%が「賞与が高かった場合、転職を思いとどまる可能性がある」とも回答しており、実際に33.6%の人が「想定以上の賞与が影響し、転職を思いとどまった」経験があるとのことです。特にこの場合の賞与額の平均は80.5万円と高額で、金銭的要因が転職意向に大きく影響を与えていることが分かります。
転職経験者が語る賞与の影響
転職経験者の7割が、過去に「賞与が少ない」という理由で転職をしたことがあると答えており、賞与が少ないことが特に20代の転職動機と強い相関があることがわかります。賞与の平均額は29.8万円であり、この額に不満を覚えた結果、転職を決意した人が多数存在することが示されています。
昨年との賞与動向
前年の冬賞与は平均54.3万円、今年の予想額は51.0万円と、若干の減少が見込まれています。理想の賞与額は81.5万円とされており、このギャップは30.5万円にも及び、個々の職務に見合った賞与の重要性が浮き彫りとなっています。
福利厚生が転職を思いとどませる理由
調査の中で79.6%の転職検討中の正社員が、給与や賞与が増えなくても「福利厚生制度があれば転職を思いとどまるかもしれない」と回答しました。具体的には、「有給休暇の取得促進」と「通勤・住環境の支援」が特に重視されています。
この結果から、多くの人が経済的な要因だけでなく、生活の質や環境においても転職の意思決定を行っていることが伺えます。例えば、プライベートを重視できる制度や、成長機会の提供が転職への抵抗感につながっていると、自由回答からも多く意見が寄せられました。
変わりゆく雇用環境
厚生労働省のデータによれば、実質賃金は9ヶ月連続でマイナスとなり、物価が高騰する中で賃上げが追いついていない現状です。適切な賞与や福利厚生の充実は企業にとって喫緊の課題であり、転職意向が高まる中、どのようにして従業員を維持できるかが問われています。特に、変化し続ける雇用環境の中で、福利厚生を充実させることが離職を防ぐための一つのカギになるかもしれません。
調査は2025年11月に行われ、正社員の転職動向に関する貴重なデータとなっています。このような情報は、企業の人事政策や個人のキャリア計画に大きな影響を与えることでしょう。